アイドルの新しい形
時代は変わった。
今やアイドルの形は劇的に変化している。ここからは、そんな新しい時代のアイドルになりたい(!)きみのために話そうと思う。
さっき言ったように、芸能人が所属するプロダクションも、仕事をするテレビ局やマスコミも、ほとんどが東京にある。地方に住んでる人は、芸能人になりたかったら、上京するしかない。
けど、アイドルは違うんだ。
今や日本の各地にたくさんのご当地アイドルが存在する(ローカルアイドル、略してロコドル、地元アイドルとも呼ばれているね)。
ためしに、きみの住んでる街+「ご当地アイドル」——をスマホで入力して検索してごらんよ。
ほらね、出てきたでしょ?
少なくとも、きみの住む街から近い地方都市にはご当地アイドルが存在するはずだ。その多くはグループアイドルで、新メンバーを募集していたりする。
そうなんだ。つまり、きみは上京しなくったって、自分の街に住みながらアイドルになれるんだ!
これって、すごい。
ご当地アイドルの形はさまざまだ。アイドルを支えるスタッフらは「運営」と呼ばれる。
運営の主体は、地方の芸能事務所だったり、芸能系のスクールだったり、あるいは街の商店会や、ライブハウスのおじさんや、そう、個人がやってる場合だってある。
かつて山形にSHIPというご当地アイドルがいた。山形県酒田市の中町商店街が地域を活性化するため、地元の女の子たちを集めてアイドルグループを結成したんだ。商店街やお祭りの特設ステージで唄ったり踊ったりした。
活動期間は2002年から2007年まで。ちょうどアイドル冬の時代——アイドルがテレビの歌番組から消えた頃だった。
でもね、SHIPはずいぶんとテレビに出たんだよ。歌番組じゃなくて、ニュース番組に。山形のアイドル、唄って踊って、地元の商店街を元気づけてる女の子たち——って、たくさん特集された。
テレビやインターネットで彼女らの存在を知ったアイドルファンたちが、わざわざ遠くから山形にかけつけて、ライブを楽しむようになる(解散してからも、SHIPをモデルにしたドラマが作られて、NHKで放送された)。
NHKの朝ドラ『あまちゃん』には、明らかにSHIPのエピソードが受け継がれているよね。
1990年代に入って、バブルがはじけて、この国は長く不景気が続いた。ことに地方の街は冷えきった。駅前の商店は次々とつぶれて、シャッター通りになっている。そのシャッターの前で女の子たちが踊りだす!
地元を応援するために。自分たちの住む街を元気づけるために。
そうして日本全国各地にご当地アイドルが誕生した——というストーリーだ。
そうなんだ。みんなを元気づけることがアイドルの仕事なんだよ。そんなアイドルをファンは応援する。ファンとアイドルが力を合わせて場を盛り上げる。街を元気づける。
だから、ライブアイドルなんだ。グループアイドルなんですよ。
アイドルのライブへ行ったらわかると思うけど、つまり〝お祭り〟なんだね。
地方を盛り上げる〝お祭り〟として、地元アイドルのブームが広がった。
今では全国各地にあって、きみは自分の街に住みながらアイドルになれる。
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