なぜ日本のテレビとラジオではヒップホップがかからないのか
柴那典(以下、柴) 今回も引き続きDJ YANATAKEさんをゲストに招いて日本のヒップホップシーンについて話していこうと思います。どうやら、2017年はヒップホップメディア元年ということですが。
大谷ノブ彦(以下、大谷) おお、そうなんですか?
DJ YANATAKE (以下、YANATAKE ) 今年になって、ヒップホップのメディアがどんどんできてきてるんですよ。まず、今年の元旦にAbema TVでヒップホップチャンネルがスタートして。
柴 サイバーエージェントって、本当にヒップホップに力をいれていますよね。ヒップホップ専門のウェブメディア、Amebreakも前からありますし。
YANATAKE 藤田社長がずっとヒップホップを応援していただいていて。あとは僕も仕事で関わらせていただいているんですけど、4月1日にはWREPっていうインターネットラジオ局が開局されました。
大谷 聞きましたよ! WREPってZeebraさんが旗振り役なんですか?
YANATAKE そうなんです。Zeebraくんは昔からずっと、NYのHOT97のような24時間ヒップホップが流れるラジオ局を作りたいって言ってたんですよね。そういうメディアがやっとできたんで、それを通してもっとヒップホップが盛り上がっていけばいいなと思ってますね。
大谷 最高ですね。
YANATAKE ただ常々疑問があって、いまビルボードのトップテンをみてもヒップホップでない曲を探すことが難しい状態じゃないですか。なのに、なぜ日本のテレビやラジオでヒップホップがまったくかからないんだろうって思うんですよ。
柴 たしかに、あんまり耳にしないですね。
YANATAKE たとえば松屋とか、ステーキ「食いしん坊」でご飯を食べてても、その店がビルボードチャンネルをかけていたら、ミーゴスもレイ・シュリマーも普通にポップスとして流れてるんです。
柴 マクドナルドなんかもそうですよね。アメリカのヒットチャートで流行ってる曲を店内放送で流してる。
YANATAKE 日本のテレビとラジオだけなんですよ、ヒップホップを流さないのは。
柴 でも最近、テレビがちょっと変わったなと思ったきっかけが一個あって、TBSに『CDTV』というヒットチャート番組があるじゃないですか。あのランキングの集計方法が今年の4月からさらっと変わっていたんですよ。
YANATAKE えっ、そうなんですか?
柴 それまでは基本的にはシングルCDの売り上げ枚数を元にしたチャートだったんです。でも4月8日の放送回から、それがYouTubeの再生回数やTwitterの言及回数を加えたビルボードジャパンの複合チャートを元にしたものに変わったんです。
だからその週は前週にTOP100圏外だったジャスティン・ビーバーの「ホワット・ドゥ・ユー・ミーン?」とかエド・シーランの「シェイプ・オブ・ユー」が30位以内にいきなり食い込んできた。
YANATAKE そうなんだ、知らなかった!
柴 CDTVが変わったことで、一つ壁が崩れましたね。海外のポップスターが当たり前に日本のチャート番組の上位に出てくるようになった。
大谷 たしかにこれは大きいなあ!
YANATAKE これはすごいことですよね。僕らが子どもの頃は深夜に『ベストヒットUSA』とか『BEAT UK』というテレビ番組が放送されていて、そこで洋楽に触れる機会があったけれど、最近の子たちって、地上波のテレビで洋楽を聞く機会がほとんどゼロじゃないですか。
柴 もしいま自分が学生だったら、お小遣いもそんなに使いたくないから、YouTubeで音楽を聴くだろうし、もっといろんな曲を聴こうと思ったらストリーミングサービスの学割プランを使うと思うんですよ。そしたら邦楽も洋楽もジャンル関係なしに入ってくる。
CDTVを見れば、AKBもいるし、ジャニーズもいるし、エド・シーランもいる。こういう状況はここ10年くらいはなかったんですよね。
大谷 あきらかに変わってきてますね。
知らない洋楽をかけるラジオの役割は
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