バイセクシャルは異性愛者に恋をしたらいけないの?

今回、牧村さんのもとには、中学3年生の女の子からのお悩みが届きました。「私の好きになった子はレズでもなくて、普通に恋をする女の子です。相手のことを思って気持ちは伝えない方がいいのかな、とも思います。私は、諦めなきゃいけないのでしょうか」という相談に、牧村さんはなんとこたえるのでしょうか。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

「人は世界を変えられなくても、世界の見方を変えられるのよ」

連載のもとになった書籍『百合のリアル』で、いちばん伝えたかった一行です(星海社版234ページ/小学館より刊行の増補版は電子書籍のため、設定による)

2017年の日本では、「LGBT当事者」とか「レズビアンの方々」とかいうような表現がみられます。レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどといった、人間の種類みたいなものがある、という見方がなされているのではないでしょうか。

ですが、こうした見方がなされるようになったのは、人間がほんとうにLGBTとそうでない人の2種類に分かれて生まれてくるから、ではありません。そうではなくて、アメリカの社会運動が成功したからです。

たとえば日本では、人間の種類ではなく行為に着目して、男性同士の性行為を“男色”と呼んだり、関係性に着目して、女性同士の恋愛のような疑似姉妹のような強い絆を“エス”と呼んだりしました。ところが、行為だとか関係性だととらえると、「そうした行為を禁じて罰することにしよう」「関係性を絶ってしまおう」という発想が生まれてしまいます。

そうした発想のもと、日本含む各国で、無理矢理別れさせられそうになった二人が自死に追い詰められたり、治療と称して変な薬や注射や電気ショックをやらされたり、職場で変な噂を流されたり故郷に帰れなくされたりといった、人間としての権利を踏みにじられる出来事が起こってきたわけです。だからアメリカでは、レディ・ガガが「Born this way(こういうふうに生まれた)」と歌う中、虹色の旗を振って「私たちはLGBTだ! こういうふうに生まれた人間なんだ!」と名乗り出る形の社会運動で対抗してきているのです。そしてそれが世界に広まった。この日本にも。

そのすえに「私はLGBTなのだろうか」「バイセクシュアルなのか、レズビアンなのか」「レズビアンが異性愛者に恋をしたら迷惑だろうか」みたいな、人間をL・G・B・T・それ以外に分けることによる悩みが生まれてしまったとしたら、それは、社会運動のかなしい副作用だと思っています。今日ご紹介するのは、「同性愛者でない同性に恋をした。実らない恋が苦しい」という中学生の方からのご投稿です。

中3女子です。私は今まで、普通に男の子に恋をしてきて、LGBTという言葉は知っていたけれど私は違うなぁとあまり実感がわかずに人ごとのように感じていました。
ですが女子校に入ってから、一人の女の子を好きになりました。今までは女子校でよくあることだと思い、受け入れられずにいましたが、最近は明らかに他の子とは違う感覚があり、やっと自覚しました。男として見ているとかじゃなくて、その子の人柄が、人として好きなんです。
ですが私は子供が欲しいと思うし、おそらくバイセクシャルなので男の子と青春してみたいとか思ったりもします。でも私の好きになった子はレズでもなくて、普通に恋をする女の子です。相手のことを思って気持ちは伝えない方がいいのかな、とも思います。言って関係が悪くなるのも嫌なんです。
実らない恋が苦しいです。学校内でも、〇〇ちゃんレズらしいよwみたいな少し嫌な雰囲気があって、本当に仲のいい子にしか言えてません。
私は、諦めなきゃいけないのでしょうか。。?牧村さんのように同士で幸せになることしか出来ないのでしょうか。?長文すみません。。

(ご投稿を全文そのまま掲載しました)

ご投稿、ありがとうございます。まずなにより、ご投稿者の方ご自身が、好きな人を好きな気持ちを捨てさせられずに持っていられることが、私には嬉しいです。

「○○ちゃんレズらしいよw」みたいな嫌な雰囲気の中、それでも好きな人を好きでいられる。それだけでなく、仲のいい人に話せた、私やこの連載の読者さんたちにも話してくださった。そのことが、私には、嬉しいのです。

あなたが好きな人を好きな気持ちを、捨てさせようとする人もいるかもしれません。1994年まで、日本の文部省(当時)は同性愛を青年非行として指導対象にしていました。そんな時代からもう23年も経っていますが、それでも、「思い込みだよ」「男と付き合えば変わる」などといって、あなたが好きな人を好きな気持ちを軽んじてはばからない人はいるかもしれない。もしかしたら、あなたも、あなた自身に対してそういうことを言い聞かせてしまうかもしれません。

でも、いいのです。

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ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

kisa9071_8423 これ私だ。。嬉しすぎる。。 学校で気付いて読んでひとり号泣してた(笑) 1年以上前 replyretweetfavorite

shionzan 相談者への気持ちや優しさが温かくて、読むとほっこりしちゃう。悲しいとか嬉しいとかだけじゃなくて、あぁきれいだなって思うことでも人って涙腺にくるのねって感じになりました笑 https://t.co/mmbyehB3hz 1年以上前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 1年以上前 replyretweetfavorite

fujima77  最近、セクマイだと思うけど恋はどうすればいいのかわからない的な話も聞くから、恋してドキドキする体験を得て勝ち組だ 1年以上前 replyretweetfavorite