にくとほねを、つつむもの。
ーその生身のからだは誰のもの?ー

【第6回】まさか、そこまで観察しているとは誰も思わないだろう。演劇作家とはそこまで突きつめずにはいられない生き物なのだろうか。女子たちを前にあれこれ思索する旅は、まだまだ始まったばかりだというのに・・・。

コートだのセーターだののなかにはかならず肉があって骨があるわけだから、女子のからだは何枚もの繊維や皮膚などで重ねられている。こんな季節はそれら骨に至るまでの「つつむもの」を想像のなかで一枚一枚めくりながら女子を観察する。そしていつも気がつく。「つつむもの」を剝がした先に現れる肉や骨は、きっと勝手に育ってきたものではなくて、誰かから何らかの手を加えられてここまできたものだろう。自力のみでここまできた肉や骨はないはずだ。そうやって見ていくと果てしがなくて、いつもきまってクラクラする。ぼくなんかがいたずらにその肉や骨に触れてはいけない気がするし。もっと言うと、ぼくのこんな汚(けが)らわしい目で見てはいけないくらいにおもってしまう。だからたとえば、こっぴどい噂が流れてしまった女優がいたとして、でもその女優の肉や骨だってそうなわけだ。アダルトビデオにでている女優の肉や骨も、画面のなかでなにをされていたってそうなわけだ。誰だってそうなわけだから、誰のことも馬鹿にできなくて苦しくなることがある。

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コメント

consaba 藤田貴大「誰もが大切に、誰かに愛されて育てられたからだなので、みたいなことではなくて。」 3年以上前 replyretweetfavorite