お金をどう使うか。その〝意識の違い〟が人生を分ける
まず、毎日のお金の使い方で、将来がどのように変わってくるのかシミュレーションしてみよう。
ここに、二人の男性会社員がいる。
二人とも、25歳、独身、彼女ナシ——。同じように営業系の仕事に就いている。
給料に関しても、手取り26万ほどで同じくらい。
ビジュアルも、二人ともそれほど悪くない。わりと人気のあるお笑い芸人くらいのランクと言えるだろうか……。いて違いを挙げれば、一方は細身で、一方はガテン系というくらいだろう。
このように優劣つけがたい二人なのだが、ここでは便宜的に、細身の彼を山田あきら君、ガッチリ系の彼を川中たける君と呼ぶことにしよう。
今はほとんど〝どんぐりの背比べ〟状態の二人なのだが、毎日のちょっとしたお金の使い方で、5年後の運命が驚くほど変わってくる。
ここではおそらく、あなたもよく買っているであろう、スマートフォンのアプリを例に挙げて比較してみよう。
*
《山田あきら》
眠い目をこすりながら、なんとか満員電車の空席を確保する山田あきら。
一息ついたら、さっそくカバンの中から最新型のスマートフォンを取り出し、ネットに接続してアプリを検索しはじめた。
「えっとぉ……、英単語がすっと頭に入ってくるアプリないかなぁ」
あきらは心の中でそうつぶやきながら、今夢中になっているフィリピン人英会話講師との会話に役立ちそうな、英単語アプリを探しはじめた。
なんでも、あきらは現在、スカイプを利用した英会話講師とのマンツーマンレッスンにはまっているのだ。
「ジェニー、かわいいんだよな……。もっと英語をマスターして、いつかフィリピンに会いに行きたい!」
どうやらあきらは、フィリピン人の女性講師に好意を寄せているらしい。動機は不純だが、英会話の勉強に熱が入るなら良いことだ。
「お! このアプリ、いいな。300円か。よし、これをダウンロードしてと……」
あきらは、心の中でそうつぶやいて、マンガでわかりやすく英単語が覚えられるように工夫されている有料アプリをダウンロードした。そしてさっそく、往復約1時間の通勤時間を利用して、英単語の勉強をしはじめたのだ。
《川中たける》
一方で、ガテン系の川中たけるも、満員電車でなんとか座席を確保できた。いつも、途中で降りる男性をチェックしていて、その人の前に立っていると席が空くことを知っているのだ。
たけるも席に座るやいなや、スマートフォンを取り出した。
そしておもむろに、面白そうなアプリがないか物色しはじめた。
「ええっと、前はこのゲームを攻略したから……、お! これが面白そうだな。300円なら、まっ、いいか」
たけるはひとりでぶつぶつ言いながら、「人気No.1!」と表示されていたゲームアプリをダウンロードしはじめた。戦国武将たちが出てくる対戦型ゲームアプリだ。
さっそくゲームを開始したたけるは、まわりから白い目で見られていることも知らずに朝から熱を入れてゲームに没頭している。
「あー、しまった、また倒された! よし、今度こそ!」
実は、たけるは大のゲーム好き。往復約1時間の通勤時間は、ほとんどゲームにあてているのだ。
*
二人の会社員の何気ない通勤風景をご紹介したのだが、実はここに、彼らの人生を大きく左右してしまう「お金の使い方のヒント」が隠されている。
あなたは、もうお気づきだろうか?
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