日本独自のフリースタイルブーム
柴那典(以下、柴) 今回もDJ YANATAKEさんをゲストにヒップホップの最前線について語って行こうと思います。
大谷ノブ彦(以下、大谷) 前回はアメリカでヒップホップがメインストリームのど真ん中にあるっていう話でしたけど、日本は今フリースタイルのブームで、ちょっと状況が違いますよね?
DJ YANATAKE(以下、YANATAKE) そうですね。まず今のフリースタイルブーム※は、完全に日本独自のものですね。
※フリースタイルブーム:高校生ラップ選手権(2012年7月〜)、フリースタイルダンジョン(2015年9月〜)などで一般に大ブレイクした即興ラップによるMCバトルのブーム。
大谷 そうなんですね。
柴 やっぱりガラパゴス化した状況だと。
YANATAKE 日本でMCバトルがこんなに流行ってるって言ったら、世界中の人が「え? そうなの?」ってびっくりすると思う。でも、それはそれでいいことだと思うんですよ。
大谷 YANATAKEさん的には、日本でも近い将来アメリカのようにヒップホップが音楽シーンの真ん中にくることはあると思いますか?
YANATAKE 願望としてはありますけど……。
大谷 僕はそのキーポイントになるのはPUNPEEとか、それこそYANATAKEさんと一緒にアルバムを作られているSKY-HIとかかなと思うんですけど。
YANATAKE そこは正直、誰でもいいんです。でも、とにかく特大のヒット曲が一曲ほしい。
大谷 というと?
YANATAKE フリースタイルのブームについては僕も光と影の両方があると思うんですけど、それでもやっぱりすごくおもしろいですよ。僕も毎週『フリースタイルダンジョン』は観てますし、「戦極MCバトル」っていう大きい大会でDJもしているんで。
今後、日本語ラップの歴史においては「2016年はフリースタイルの年だったね」と語られると思うんですね。でもそれを象徴しているヒット曲が出ていないんです。
大谷 たしかに、大流行した曲っていったらすぐには思い出せないですね。
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