とある女性誌にて、「真の美女になるには?」というコラムの依頼を受けた。
そして原稿を書きながら、正直、途方に暮れた。
だって私自身は、40を過ぎてほとほとお疲れなのだ。最近は“美しくなる努力”をほとんど辞めてしまった。ハードなダイエットもあんなに熱心に通っていた溶岩ヨガも加圧ビューティーも行っていない。
ざっと数えて3000人。おそらく、美女に会いすぎたせいだ。
9頭身のスーパーモデル、シルクよりも滑らかな肌の女優、澄んだ湖のような瞳のマダム……。女性誌を中心にインタビュアーを続けてきた私、芳麗は国宝級の美人に会うのが長らくの日常である。
あまりの圧倒的な美を前に、すっかり鑑賞する側に回り、わずかでも距離をつめる努力を放棄してしまった。
今さら、小手先程度の努力をしてもね。全力で美容とダイエットをがんばって“見た目そこそこ美人”になれたところで、何かいいことある? ……etc.
心のぼやきは止まらない。
まあ、つまり、美を諦めつつある理由は……自分の怠惰につきる。
しかし、一方では、感動的な美人に会えば会うほど、なるほど、それなら私も、いつか私も……と思えることもある。
見た目そこそこ美人には興味が持てなくとも、心動かされる圧倒的な美人にはいまだ憧れるし、むしろ、自分次第で近づけるのではないかと思うのだ。
なぜだろう?
良い機会なので、私の思う「美人の条件」を掘り下げてみたい。
完璧な造形なのに、心を動かされない美人
みなさん芸能人を見て、不思議に思うことはないだろうか。
あの人は美人。あの人はもっと美人! でも、なんだか印象に残らない。
っていうか、あの子は最近あか抜けて、かわいくなった。
あの人ってあんなに美人だったっけ……?
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