西内啓(にしうち・ひろむ)/1981年生まれ。東京大学医学部卒業(生物統計学専攻)。同大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長などを経て、現在は調査・分析などのコンサルティングに従事。
飯田泰之(いいだ・やすゆき)/1975年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済研究科博士課程単位取得中退。内閣府経済社会総合研究所、財務省財務総合政策研究所などで客員を歴任、現在は駒澤大学経済学部准教授。主な著書に『思考の型を身につけよう』(朝日新書)など多数。
統計は全分野で通用する武器
西内 マネジメントの話をすれば、天才を100人つくることはできませんが、統計学を適切に使えばモデルの当てはまり方次第で、100人の従業員にその8割方の仕事をしてもらうことは、そう難しくないのではないかと思っています。
飯田 加えて、平均、分散、標準偏差ぐらいであれば、エクセルなどのパソコンソフトで簡単にできるようになったことも大きいですね。身近にあるパソコンで、データを扱うのが簡単になりました。
西内 かつては大学の研究室に1台だけあるスーパーコンピュータを使っていたそうですが、様変わりしていますね。
飯田 ただ、おかげで世の中にたくさんの図表が溢れています。「週刊ダイヤモンド」もそうですが、このデータは意味がないな、と思うときがあります。
西内 よくあるのが、デザインはすてきな円グラフなのですが、「そう思う」「そう思わない」しか書かれていないことです。「そう思う」人がどのような行動を取ったのかがわからなければ、判断のしようがありません。
飯田 その通り。なぜ、クロス集計(→用語解説)しないのかと言いたくなる。せっかく大規模なアンケートを取っていても、関連性を見ないと意味がないんですよね。
あと、平均値はそろそろやめたほうがいいですね。平均ははずれ値に大きく左右されてしまうからです。海外の新聞では中央値を使うことが多いですね。
西内 いわゆるロングテールなデータだと、平均値と直感的に合わないことが多くなりますし。
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