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こんにちは、きのコです。
今回は、「手放す」ことの大切さについて、考えたことをお話してみたいと思います。
きっかけは、広島で開催したポリアモリーの交流会でした。
各地でいろいろな方といろいろな形でポリアモリーに関するイベントを開いているのですが、今回は「その日・その場で初対面となる方と共催でイベントをやる」という初めての試みだったのです。
イベントを開催することになったのは、SNSで「涼ちゃん」という方からいただいた1通のメッセージからでした。
「自分のしている事が正式なポリアモリー的な恋愛なのかは定かではないのですが、5年くらい前から好きになるのは悪い事ではない!と開き直って、相手に事前説明した上で自由に恋愛しております。」「今後、ポリーラウンジさんが広島の方に訪れる機会がございましたら、是非、協力させて頂きたいと思っています。」
熱いメッセージをいただいて、とても嬉しく心強く感じた私は、「ぜひこの方と、広島でイベントをやりたい!!」と思いました。
そこからメッセージのやり取りが始まり、イベントの日程や場所など、詳細がトントン拍子に決まっていったのです。
「きっと素晴らしいイベントになるに違いない! テーマは何にしようかな? 今回はどういうアイスブレイクをやろうか…」
私はわくわくしながら、広島を訪れる日を指折り数えて楽しみにしていました。
イベント直前によぎった一抹の不安
ところが、イベント直前になって、彼から連絡がきました。彼が提供してくれる予定だった会場が諸事情で使えなくなった、というのです。
かわりに広島市の市民交流プラザの会議室を予約してくれた、とのことでしたが、私は一抹の不安を感じました。以前、会議室でイベントを実施したことがあるのですが、殺風景な部屋で堅い空気になってしまって話が弾まなかった経験があり、それ以来、会議室でのイベント開催は避けていたのです。
「非日常の空間で、20人と愛について語り合いました」でも書いたように、ポリアモリーについて語り合うには、友達の家に遊びに来てくつろいでいるような雰囲気づくりが何より大切だと考えています。時には非常にプライベートな打ち明け話も出てくる場だからこそ、「ここでは何を話しても、何を尋ねてもいいんだ」と思えるようなオープンな和やかさが大事だと思うのです。
「もし、会場の雰囲気が悪くて話が盛り上がらなかったら、参加者の方に申し訳ないな…」
「初対面の涼ちゃんとどんなトークをすれば、皆を和ませることができるだろう…」
モヤモヤと悩んだ末、私は恋人のAさんにその不安を話してみました。
Aさんの反応は「ま、なるようになるんじゃない?」という、ざっくりしたもの。けれど、私はその言葉で、何かが剥がれ落ちるように肩の力が抜けたのです。
こだわりを手放してみる
私は、数年間のイベント主催経験の中でいつのまにか自分が「ポリアモリーのイベントはこういうやり方が正しい」と考えるようになっていたことに気付きました。そして、そのこだわりを手放してみよう、共催者の涼ちゃんにゆだねてみよう、と思ったのです。
「彼のイベント主催者としての経験も、ポリアモリーに対する考え方も分からないけど、熱い思いをもってメッセージをくれたことは間違いない。だから、彼なりの『こんなことを話したい』『こんなことを聞きたい』があると思う。それを大切にしよう。
いつもの私のイベントと違う雰囲気や流れになっても当たり前。どうしても私じゃないと語れないような内容だったり、置いてけぼりになっている参加者の方がいたら、フォローしよう」
そう考えるようになったことで、かなり楽な気持ちで当日を迎えることができました。