藤田貴大
八千草さんのタトゥータイツなら。
【第4回】 女子への興味は尽きないのに、どこまでもどこまでも追いかけていきたいのに、すべてを受け入れることはできない。そんな悩める演劇作家が、現実と妄想のはざまで見出した最終結論とは・・・。
タトゥータイツ、みたいな。そういうのをよく見かけるようになったけど、ぼくにはあれがどうもわからない。さいしょ、なにかシールみたいなものを生脚に貼っているのかとおもってギョッとしたし。そしてさらに、あれがタイツなんだと気がついたときに、そのセンスはぼくにはないなと、タトゥータイツを穿く女性全般をココロのなかでつめたく突き放してしまった。こういうときはきまって、けっきょく自分の理解力の無さが悪いような気がして、打ちひしがれることになる。理解ができない、と してしまうことはとても悲しいことだ。それを受けとめる許容量がないのは、自分の小ささを露呈していることでもある。極力、おおくのことを理解できないとしてしま いたくない。しかし、タトゥータイツってやつは、ぼくをなかなか、その魅力に誘ってくれない。
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この連載について
藤田貴大
演劇界のみならず、さまざまなカルチャーシーンで注目を集める演劇作家・藤田貴大が、“おんなのこ”を追いかけて、悶々とする20代までの日常をお蔵出し!「これ、(書いて)大丈夫なんですか?」という女子がいる一方で、「透きとおった変態性と切な...もっと読む
著者プロフィール
1985年生まれ、北海道出身。桜美林大学文学部総合文化学科にて演劇を専攻、2007年に『スープも枯れた』でマームとジプシーを旗揚げ。2011年に発表した三連作『かえりの合図、まってた食卓、そこ、きっと、しおふる世界。』で第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2013年『てんとてんを、むすぶせん。からなる、立体。そのなかに、つまっている、いくつもの。ことなった、世界。および、ひかりについて。』で初の海外公演。さまざまな分野のアーティストとの共作を意欲的に行うと同時に、中高生たちとのプロジェクトも積極的に行っている。主な演劇作品は『あ、ストレンジャー』『cocoon』『書を捨てよ町へ出よう』『小指の思い出』『ロミオとジュリエット』『sheep sleep sharp』など。著書に『おんなのこはもりのなか』『Kと真夜中のほとりで』がある。