仕事として、アイドルのことを考えてみる!

「アイドルとは、『好き』になってもらう仕事」--。アイドルの世界を誰よりも知る作家/アイドル評論家の中森明夫さんが、満を持して放つ『アイドルになりたい!』。中森さんだからこそ語れる、アツくて深い言葉たち。「アイドルになりたい人」だけでなく、どんな仕事にも通じる大事なヒントが、たくさん綴られています! 今回、この本が好評を博しているのを記念し、特別掲載がスタートです。

はじめに

 アイドルになりたい!
 そう思っている、あなた。

 アイドルを知りたい。
 アイドルを楽しみたい。
 そう考えている、きみ。

 これは、そんなあなたや、きみたちのための本です。

 現在、アイドルは女の子たちがもっともあこがれている職業の一つだ。けれど、これまで初心者が読めるアイドル入門本がほとんどなかった。
 本書は初の本格的なアイドル入門本です。
 これを読めば、どうやったらアイドルになれるか、がよくわかる。

 アイドルとは何か? その魅力の正体は? 歴史は? 仕事の中身は? これからアイドルはどうなっていくのか?
 そうして、あなたがアイドルになるために必要なものは何か?
 アイドルとしてブレークするための方法は?
 何を知り、どう考えて、いったいいつ、何をやればいいのか?
 そんなことが書いてある。

 女子のアイドルを中心に、アイドル志望の女の子のために書きました。
 しかし、アイドルが好きな男子が読んでも、きっと面白く、役に立つと思います。
 なぜって?

 それは、きみたちが好きなアイドルについて、よく知ることができるから。いいかい。自分が好きなものを、より深く、くわしく知ることによって、きみたちはそれを、もっと大好きになれるんだ。
 この本を読んだら、きっとあなたはアイドルについての見方、考え方がまったく変わっているはずです。

 ぼくはアイドルが好きだ。大好きだ。
 愛している。

 アイドルという存在や、アイドルというジャンルが、世界に誇るべきものだ—そう信じています。
 アイドルの未来を作るのは、あなただ!
 きみたちなんだ!
 そんなあなたに向けて、この本を書きました。

 それでは、まず、きみにやってもらいたいことがあります。
 次の章を読む前に、今、大きな声で叫んでください。
 そう
「アイドルになりたい!」


アイドルって何だろう?


きみがなりたいものの正体は?

 アイドルって何だろう?
 そう訊かれたら、きみはどう答えるかな。

 若い女の子たちがきらびやかな衣裳を着て、唄ったり、踊ったりする。それをファンが大きな声援を送って、盛り上げる。
 そんな場面を想像するんじゃないだろうか。

 すると、アイドルは歌手?
 いや、アイドルは歌がヘタだ、とよく言われる。もっと歌のうまい人は、いっぱいいるよね。
 ダンスだって、そうだろう。あきらかにプロのダンサーとは違う。

 かわいい女の子ってこと?
 でも、美人かな。美人が、かならずしもアイドルになれるわけじゃない。アイドルグループで一番人気の子が、美人とは限らない。

 わかるよね?
 スタイルばつぐんとも言えるか、どうか。ファッションモデルとアイドルでは、全然、体型が違うでしょ?
 うーん。
 すると、アイドルって何?

 歌がうまくない。ダンサーとも違う。美人とは限らない。スタイルばつぐんじゃない。
 アイドルって、じゃあ、どこがすぐれているんだろう?
 いったい何のプロなのかな?
 これは大切なことだよ。

 アイドルになりたい—きみは、そう思っている。
 じゃあ、アイドルとは何か? いったい何をする仕事なのか?
 それがわかっていなきゃ、ダメだよね。
 自分のなりたいものが、本当は何なのか? わからなかったら、絶対になれるわけなんてない。

なぜオーディションに落ちたか

 たとえば、きみがアイドルのオーディションを受けたとする。
 きみが落ちて、別の女の子が受かった。

 その子は、きみよりかわいくない。歌もうまくない。ダンスもパッとしない。スタイルもよくない。
 あきらかに自分のほうが、すべてすぐれている。きみはそう考えている。
 でも、きみは落ちて、彼女は受かった。

 わけわかんない! きみはそう思う。
 自分の何が劣っていて、何がたりないか、それがわかっていなかったら、じゃあ、どう努力していいか、わからないじゃん。

 たとえば、百メートル走とは何か?
 百メートルを一番速く走った人が勝つ競技だ。
 サッカーとは何か?
 十一人のチームで、ボールを蹴って、点を取り合うゲームだ。
 みんな、それをわかっている。
 わかっていない百メートルランナーやサッカー選手なんているわけないよね。

 でも、アイドルになりたいきみは、アイドルが何かわからない。自分が参加しているスポーツのルールを知らない選手みたいなものだ。当然、それで勝てるわけがない。

 百メートルランナーがスタートダッシュに失敗した。反省して、何度もスタートの練習をする。途中でバテて失速した。スタミナをつけるため筋トレをはじめる。
 こんなふうにがんばるのが普通だよね。

 しかし、きみは、どうして自分がオーディションに落ちたか、わからない。
 失敗した理由がわからないから、どう反省して、これから、どうがんばったらいいか、わからないんだ。
 それでアイドルになりたい女の子は、結局、ダイエットぐらいしかやることがなくなるんだね。
 きみにとって一番大切なこと。
 まず、最初にやらなきゃいけないこと。
 それは—。
 アイドルとは何かを知ることなんだ。

何の仕事なの?

 アイドルとは、いったい何をする仕事なのか?
 よし、ぼくが教えてあげよう。

 たとえば、きみがアイドルのCDを買ったとする。なぜ、買ったんだろう?
 よーく、考えてごらん。
 歌がうまいから買ったんだろうか?

 さっきも言ったように、アイドルより歌のうまい人は、いっぱいいるよね。
 でも、カラオケマシーンで百点を取るような、どこかの歌のうまいオジサンのCDを、きみは買うかな?
 買わないでしょう。

 音楽大学の声楽科を卒業して、完璧に正しい歌い方のできるオバサンのCDなら買う?
 買わないよね。

 なぜ、きみはそのアイドルのCDを買ったのか?
 そう。
 「好き」だから買ったんでしょう。

 そうなんだ。
 アイドルとは、「好き」になってもらう仕事なんだ。
 「好き」であることにお金を払ってもらう仕事—と言ってもいい。
 それをCDや写真集やライブの形で表現しているんだね。

 どれだけ歌がうまくったって、唄い方が正しくったって、「好き」にならなければ、誰もそのCDを買わない。
 それがアイドルなんだ。

 きみはこの本を読んで、一つ重大なことを知った。

 自分があこがれているもの、なりたいものの正体を、たった今、ついにはっきりとつかんだんだから。
 アイドルとは「好き」になってもらう仕事。
 いいね、このことを絶対に忘れないように。

読み始めたら止まらない、本格的アイドル入門本!

この連載について

アイドルになりたい!

中森明夫

「アイドルとは、『好き』になってもらう仕事」--。アイドルの世界を誰よりも知る作家/アイドル評論家の中森明夫さんが、満を持して放つ『アイドルになりたい!』。中森さんだからこそ語れる、アツくて深い言葉たち。「アイドルになりたい人」だけで...もっと読む

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katori_BT なんでそうなるのか、その答えがたぶんこのへんにある。 https://t.co/J4doKhNWph 約3年前 replyretweetfavorite

mayumiura “ 音楽大学の声楽科を卒業して、完璧に正しい歌い方のできるオバサンのCDなら買う? 買わないよね。 なぜ、きみはそのアイドルのCDを買ったのか? そう。 「好き」だから買ったんでしょう。” 約3年前 replyretweetfavorite

a_i_jp 初の本格的アイドル入門本、中森明夫の『アイドルになりたい!』特別バージョンがcakesで公開中…第1回はこちら→「 約3年前 replyretweetfavorite

a_i_jp 初の本格的アイドル入門本、中森明夫の『アイドルになりたい!』特別バージョンがcakesで公開中…第1回です→「 約3年前 replyretweetfavorite