フランス新大統領の誕生
5月14日、フランスで新しい大統領が誕生しました。なかなか一悶着あった今回の大統領選。選挙権のない日本人移民の私も、はたから見ていてかなりドキドキしました。
フランスでは、国民が直接選挙で大統領を選べるようになっています。1回目の選挙で過半数の票を獲得した候補者がいない場合、2回目の選挙を行い、トップ2人の候補者の中から選ぶという方式です。今回は、この1回目の選挙の行方が見えず、もしかしたらアメリカ大統領選のように「驚きのどんでん返し」が待っているかも!?という緊張感がありました。
新しくフランスの大統領に選ばれたマクロン氏がどういう人なのか、以前コチラの記事で紹介したように、奥様との出会いやその年の差について、まさに今世界中で話題になっているようです。
一方、マクロン氏と最終決戦をしたルペン氏は「フランスのトランプ」と呼ばれるほどの人物で、移民や難民、そしてテロリストを排除するという思想の持ち主。「極右」と呼ばれる通り、極端な派閥のリーダーです。
左:ルペン氏の後ろ姿、右:マクロン氏
なんといっても強烈なのは彼女のお父さんで、平気で差別的な暴言を吐くことで知られています。私が個人的に名付けているのは「暴言大魔王」。さすがに娘であるルペン氏も、党のトップだった父親がこのままではイメージが悪すぎると自らがトップに立ち変わり、大統領選に向けてあれやこれやとイメージアップをはかっていました。
私は今回の大統領選でもしルペンが当選すれば、「自分とは違う人間は排除する」という考えによって、フランスがフランスではなくなるのでは?という恐怖を感じていました。
十人十色の生き方を実践しているパリジャンをはじめ、フランスにあるあらゆる多様性が否定されるだけでなく、戦争が起きてもおかしくないと震え上がったのです。
選挙で見えてきた十人十色なリアクション
1回目の選挙を終えた時点で、マクロン氏がトップ、続いてルペン氏が選ばれ、私にとっては最悪の結果にはなりませんでした。ただ、トップのマクロン氏から4位までの候補者への投票率を見てみると、違いはわずか数パーセントしかありません。今回の選挙はいかにフランス人たちの意見がバラバラにわかれた接戦だったかがわかります。
フランス大統領選、第1回目投票、接戦の結果
この日からメディアでは、「マクロン氏とルペン氏以外の支持者は、2回目の選挙でどちらに投票することになるのか?」という話題でもちきりになりました。
テレビのインタビューに答える一般人の中には、1回目の選挙で自分の支持者が落選したことで「2回目の選挙は行かない、どうでもいい」と言う人もいれば、選挙結果に納得がいかずにキレて、「マクロンでも、ルペンでもない!」というキャンペーンをスタートし、デモをする人たちもいました。
なかでも私がテレビで観て驚いたのは、マクロン氏支持者でもルペン氏支持者でもない20代と思しき若者の言葉でした。1回目の選挙結果を受けた直後、興奮しているらしい彼は早口に
「次の選択肢は、マクロン、ルペンにいれるか、もしくは、白紙票にするか、『ニュル票』 にするかですね」
この「ニュル(Nul)票」という言葉を初めて聞いてわからなかったので調べてみると、日本語でいうところの「無効票」のようなものでした。
ニュル票とはどんなもの?
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