ECDとPUNPEEが描く「音楽と人生」
柴那典(以下、柴) 前回はスカパラがフィーチャリングの元祖なんじゃないか?って話でしたけど、今、もっと上の世代にすごい人がいるんですよ。
大谷ノブ彦(以下、大谷) え? 誰ですか?
柴 加山雄三さん。この人の動きが最近とんでもなくおもしろいことになってる。
大谷 あー、なるほど! 前にもこの連載「高田純次、加山雄三……おもしろみしかないヒップホップの鉱脈」で話しましたよね。「お嫁においで2015 feat.PUNPEE」が最高だって。
柴 実は最近、ラッパーのECDが加山雄三さんの「君といつまでも」をサンプリングして、この曲のアンサーソングを作ったんですよ。それがPUNPEEの曲と一緒に『加山雄三の新世界』というアルバムに入っている。
大谷 アンサーソング?
柴 PUNPEEの「お嫁においで2015」は〈こんな不甲斐ない僕だけど結婚してくれないかな?〉という歌じゃないですか。ECDは〈こんな俺と一緒にいてくれてありがとう〉という歌なんです。
大谷 最高ですね。
柴 しかもECD版の「君といつまでも」は、かなり赤裸々なドキュメントなんですよ。その生活は、奥さんで写真家の植本一子さんの著書、『働けECD』や『かなわない』『家族最後の日』を読んでもらうとわかるんですけど。
大谷 はいはいはい。
柴 彼は最近までガンで入院していたんですよね。それで退院後に出したのが『君といつまでも』っていう。
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