機能とニーズを循環させるパーマカルチャー【第45回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』の全原稿を火・木の週2回で公開中!第3章のテーマは「街で暮らす」。ゆるやかに外とつながる暮らし方から、これからの共同体の姿が見えてきます。今回も引き続きエコビレッジ・サイハテが舞台です。パーマカルチャーとは、一体どのようなものでしょうか。

機能とニーズを循環させるパーマカルチャー

 わたしがサイハテを訪れたとき、つくりかけの不思議な畑がありました。まんなかに鶏小屋があって、そこから花びらのような放射状の網が畑に向かって広がり、その網のまわりに野菜が植えられているのです。「これは何?」とシンクに聞くと、「チコがつくってる畑」という返事。

 チコは本名を杉山知己さんと言い、サイハテのパーマカルチャーデザイナーです。

 鶏小屋のにわとりは、花びら型の網の中を自由に移動でき、野菜くずなどのえさを食べることができます。えさを食べてにわとりは糞をし、これが野菜の肥料にもなるという仕掛けになっていました。

 このように環境を設計することによって、家や道路や鶏小屋や畑といったさまざまな要素がたがいに助け合うような関係をつくるのが、パーマカルチャーなのです。そしてその関係を設計するのが、パーマカルチャーデザインという仕事です。人間がいちいち細かく手を入れたり動かしたりしなくても、自律的に動いていってくれるような状態をつくるということなんですね。

『パーマカルチャー 農的暮らしの永久デザイン』(ビル・モリソン、農文協)という本には、こう説明されています。


貯水池や水タンクは家や畑よりも高いところに置き、ポンプを使わなくても重力で水を誘導できるようにする。家の風除けは、風は遮るが冬の日差しは妨げないような位置に設ける。畑は家とニワトリ小屋の中間に置き、ニワトリ小屋へ行く途中で畑の野菜クズを集めやすいように、また鶏糞をかき集めて畑に施すのも容易なようにする。


 パーマカルチャーデザインでは、にわとりや建物、野菜などの機能を分解して考えるということをします。たとえばにわとりなら、「肉」「たまご」「羽」「羽ぼうき」「鶏糞」「呼吸で出す炭酸ガス」「音」「熱」「メタンガス」という機能があります。これらの機能を、他の要素がどう採り入れるかを考えていけばいいのです。

 住宅は、食物や燃料、暖房、湯、電灯などが必要です。にわとりは食物、羽毛布団による暖房、鶏糞のメタンガスを供給することができますね。

 果樹園は、果物を提供してくれて、かわりに除草と害虫防除と肥料が必要です。にわとりをときどき果樹園に入れれば、昆虫を食べてくれるので害虫防除になります。土をひっかいて除草のような役割も果たしてくれます。

 このように、それぞれの機能とニーズから、それぞれの関係をどうつくっていくかを考えるわけです。

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ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

初回を読む
そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート! ミニマリズム、シェア、健康食志向……今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?深い洞察をゆるやかな口...もっと読む

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marekingu #スマートニュース 3年以上前 replyretweetfavorite