コミュニティになる賃貸マンション—「ロイヤルアネックス」【第43回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』の全原稿を火・木の週2回で公開中!第3章のテーマは「街で暮らす」。ゆるやかに外とつながる暮らし方から、これからの共同体の姿が見えてきます。今回は、池袋でユニークな不動産経営をしている青木純さんのお話です。

コミュニティになる賃貸マンション—「ロイヤルアネックス」

 池袋で、マンションの大家さんをやっている青木純さんという人がいます。

青木純さん

 青木さんはもともと不動産業界ではたらいていた人なのですが、2011年の震災の年に、池袋にある「ロイヤルアネックス」という賃貸マンションを運営する株式会社メゾン青樹という同族企業の代表を、お祖父さん、叔父さん、お父さんから受けついで、4代目の大家さんになりました。1980年代の古い建物ということもあり、当初は空き室だらけで、どうやって維持していけばいいのか途方に暮れていました。しかし新規入居者に「壁紙は自由に選んでいいですよ」という「カスタマイズ賃貸」サービスをはじめたところ、これが人気になって、だんだんと入居者が増えていきます。そこで青木さんはさらに踏み込んで、「オーダーメイド賃貸」ということをはじめました。これは入居者の希望に合わせて、部屋をリノベーションしていくというサービスです。なんと家賃の36か月分を上限にして、工事費はメゾン青樹が持ってくれるという太っ腹なやりかたなのです。「それじゃもとがとれないんじゃないの?」とだれもが思う疑問を彼にぶつけてみたところ、

「自分の希望に合った部屋に入居できるとなるとみんな愛着がわくんですよ。だから3年どころかもっとずっと長く続けて住んでくれるので、空き室のまま放置しているよりはずっといい結果になるのです」

 というお答えでした。なるほどねえ。

 加えてこのリノベーションの工事は、新規入居者や、すでにロイヤルアネックスに住んでいる住人たちも参加しておこなわれるのです。これが入居者の人たちを仲良くさせる仕掛けになっています。普通は賃貸マンションに入居しても横のつながりはないことが多いのですが、ロイヤルアネックスはそこが大きく違います。

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ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

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そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート! ミニマリズム、シェア、健康食志向……今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?深い洞察をゆるやかな口...もっと読む

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MOGGYSBOOKS 家賃の36か月分を上限に自分好みにリノベーションできる賃貸物件!凄いビジネスモデル。 3年以上前 replyretweetfavorite

sasakitoshinao 部屋のリノベ費用を、家賃3年分上限に大家さんが負担してくれるという池袋の驚くべきマンションのお話です。 3年以上前 replyretweetfavorite