佐藤和歌子
第九回・浅蜊
たくさん飲む上にたくさん食べるからスゴイ、二十歳の男の子にそうホメられました。まんざらでもない佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。ハマグリやアサリやシジミに、オス・メスがあるって知ってました? 産卵期を迎える今が旬ですよ。
実家の雛祭りに呼ばれた時のこと。今年三歳になる甥っ子がハマグリの貝殻を手に持って、お吸い物を掬って得意気に飲んでいました。「最近これがお気に入りなの。お行儀悪くてゴメンね」、姉は弁解しつつも叱る気はないようです。いいのいいの、私もこうやって飲むの楽しかったな。そのうち飽きて普通に飲むようになるんだよね。
なんで模様が違うのか。このびろびろした部分は何なのか。貝殻は何でできているのか。思えば子供の頃、貝はずいぶんミステリアスな食べ物/生き物でした。
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この連載について
佐藤和歌子
季語と晩酌をテーマにしたショートコラム。月四回更新(毎週木曜、第五はお休み)。
著者プロフィール
1980年、神奈川県生れ。ライター改メ雑文家。慶應義塾大学環境情報学部在学中に『間取りの手帖』を刊行。単著に『間取り相談室』『角川春樹句会手帖』『悶々ホルモン』、ほか福田和也『病気と日本文学 近現代文学講義』では構成を担当するなど、雑多な文章を商う。
Twitter:@wwwac_1980