最終回】「友人に薦めるか」で測る NPSという新指標の威力

顧客満足度を追求しているのに業績が上がらない──。多くの企業が直面している課題に対し、ベイン・アンド・カンパニーが提唱している新たな指標が世界で成果を上げている。シンプルな指標を「利益ある成長」につなげるカギとは? 執筆・森光威文(ベイン・アンド・カンパニー パートナー)、和田 寛(ベイン・アンド・カンパニー マネージャー)

 奇をてらった話題づくりや一過性のヒット商品は必ずしも企業のためにならない。重要なのは利益成長を継続することである。ファン顧客を増やすことによって成長を続けている企業とその仕組みを紹介したい。

 アメリカン・エキスプレス(アメックス)はグローバルなクレジットカード会社であるが、日本でも好調な業績を維持している。この成長戦略のベースとなっているのが「顧客ロイヤルティを高め、顧客との関係性を深めることによって顧客と共に成長していく」という考え方である。それを徹底する仕組みとして同社が導入しているのが、「ネット・プロモーター・スコア(NPS)」と呼ばれる、新しい指標である。

 アメックスは2007年にこの指標を導入して以来、社長の強いコミットメントの下で、全社員へ指標の持つコンセプトを浸透させ、具体的な投資も行ってきた。

 例えば、指標の分析を通じてカード紛失時の対応が重要な顧客接点であることが明らかになったために、「とにかく迅速に代替カードを再発行する」ことを掲げ、その仕組みづくりを行ってきた。またコールセンターの社員対象の勉強会や個人の成果指標への組み込みなどにより、各社員がマニュアルに頼らずに重要な顧客接点を意識した対応を行っている。

 一つの例が「旅先で財布を紛失して国際電話で連絡をしてきた顧客に、他社カードや銀行のキャッシュカードの連絡先を伝える」というサービスである。社員が自発的に始めた対応から広がったものだ。

 これを支えていたのが、NPSである。顧客満足度とは異なる顧客ロイヤルティの測定指標だ。

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