着想から2年。N高はついに現実のものとなった

「高校をつくる」。言葉で言うのは簡単ですが、新しい学校の設置認可をとるのは、並大抵の苦労ではありません。校舎となる建物を探し、申請のための分厚い書類を揃え、地元の学校関係者の信頼を得て、教員をリクルートし、生徒を募集する。間にさまざまな困難が立ちはだかる上に、今回N高が目指したのは、準備期間1年半での開校でした。不可能と思われた最短コースでの学校づくり。その軌跡を追った『ネットの高校、はじめました』の第3章を、特別掲載いたします。

教師と生徒の募集をスタート

2015年9月後半、ついに学校設置計画の妥当性を認める通知が来た。8月に奥平さんはもう、伊計島のあるうるま市に引っ越してきていた。ここで、「学校ができる」という見通しが立ったのだ。そして一息つく間もなく、教員の募集が始まった。N高が実践するのは、ネットを使った新しいかたちの教育だ。キャッチフレーズは「ネットの高校」。奥平さんは、応募をしてきた候補者に丁寧にそれを説明した。

「変化を恐れないことが大事だ、という話をしました。子どもたちを育てて世に送り出す教師という存在は、時代の最先端でなければいけない。ところが現状はそうなっていない。むしろネットの使い方などでは、子どもに対しても遅れをとっていることがある。今、特にネットリテラシーが高くなくとも、これから学んでいきたい、と思う前向きな人にだけ来てほしかったんです」(奥平さん)


N高等学校校長の奥平博一さん

結果、沖縄県内や東京から先生が集まった。新卒の若い教師もいれば、公立中学で20年以上働いていた教師もいる。共通しているのは、このネットの高校に大きな期待を寄せ、それをつくっていく仲間になりたいという思いだ。

10月には、カドカワが学校を設立するという記者会見を開き、生徒の募集も始めた。説明会には、期待以上の人数が集まった。中島さんは、「今までの通信制高校に来る生徒と明らかに違う層が来ている」と感じた。まず、子ども主導で説明会に来ることが新しかった。通信制高校の説明会は、不登校の子をもつ親がなんとか高卒資格だけはとってほしいと、子どもを説得して引っ張ってくるのが常なのだ。それが、子ども自らパンフレットを持って「自分はこの高校に行きたい」と親に主張してやってくる。そういう姿がたくさん見られた。不登校ではない中学生もたくさん来た。

「やっぱり、川上会長が『ネットの高校』といろいろなメディアで発信してくれたのが大きいと思います。通信制高校というよりも、なにか新しいスタイルの高校ができたという期待感が醸成された。これまで通信制高校の運営を手がけていたときとは、違う手応えを感じました」(中島さん)

2016年3月、開校ぎりぎりに設置認可がおりた。こうして、不可能と思われた1年半の準備期間での開校は、現実になった。

そして4月、六本木のニコファーレでN高の入学式がおこなわれた。

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ネットの高校、はじめました。—新設通信制「N高」の教育革命

崎谷実穂

2016年4月、KADOKAWA・ドワンゴグループがインターネットを活用した新しい通信制高校「N高」を開設しました。2年目となる今年度の新入生は2002人。新設の通信制高校としては異例のスピードで生徒数が増えています。 なぜ出版社...もっと読む

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コメント

tipi012011 この学校でパラダイムシフトが起きてほしい。小学校ぐらいから出来ないかなぁ。 約3年前 replyretweetfavorite

marekingu #スマートニュース 約3年前 replyretweetfavorite