沖縄スクーリングってどんな感じ?

「ネットの高校」をうたうN高では、ネットで授業が受けられ、ネットで友達ができる環境がつくられている......とはいうものの、実際にどういう勉強をしていて、どのように友達ができるのでしょうか? N高の実態を生徒や保護者、先生への取材から探った『ネットの高校、はじめました』の第2章を、特別掲載いたします。

沖縄スクーリングってどんな感じ?

第1回の沖縄スクーリングがおこなわれたのは、2016年の9月だ。山内さんは、そのとき特別活動でつくったミニチュアの「島ぞうり」(ビーチサンダルの沖縄の独自の呼び方)を今でも鞄につけている。

「美術の授業で、動画を撮影して編集するのも楽しかった。ハーリー体験もよかったなあ。2年次で多めに単位をとって3年次で時間をつくって、また伊計島に行こうって計画してます」(山内さん)


海人(うみんちゅ)の伝統文化であるハーリー体験。

ハーリーとは、琉球王朝時代に中国から伝来したと言われる、爬竜船を漕ぐ行事だ。その体験を、伊計島の自治会が協力してN高のスクーリングで実施した。主導したのは、伊計自治会の玉城会長だ。玉城会長は、唯一の小中学校が廃校になったことで、島から活気が失われたと感じていた。

そんななか、やってきたのがN高の生徒たちだった。玉城会長はこれから伊計島で何年もスクーリングを受け入れることを考え、特別なことはしないと決めた。ハーリー、芋掘りなど、普段の生活のなかでやっていることを、子どもたちにも体験してもらおう。そうして、地元の農家や漁業者を集め、事前の説明会をおこなった。

はじめは「通信制高校って学校に行けないような、悪い子たちが来るんじゃないか」といったマイナスイメージをもっていた地元の人もいた。しかし、玉城会長の熱意がみんなを動かし、ハーリー体験には予定よりたくさんの若手の漁業者が協力してくれた。「やるなら楽しんでもらいたい!」と気合を入れて臨んだところ、生徒たちは「まじやばい!」「海超きれい!」「なにこれ楽しい!」と大はしゃぎだった。手応えを感じた地元のメンバーは、N高のスクーリングをきっかけに、島を活性化するためのいろいろな活動を始めることにした。

「不良が来るんじゃないか」と心配されたN高生は、ごく普通の、ちょっと人見知りな子たちだった。

「ちょっと心を閉ざしてるのかなって最初は思ったけど、最終日には見違えるほど元気になっていて、感動しましたね。あの子たちは挫折を経験している分、人の痛みがわかって成長できるはず。普段気を張って縮こまってる子どもたちを、素に戻して元気にするのが、自分たちとこの島の自然の役目だと思っています」(玉城会長)

奥平校長もまた、第1回のスクーリング前は緊張していた。数日前から大好きな酒も断ち、準備に明け暮れた。第1回でやってきた生徒たちは75名。顔が見えた瞬間、ほっとした。開校準備のときからずっと、遠く離れた沖縄でみんなを待っていたのだ。

生徒たちには、とにかくテンション高く接すると決めている。校舎に入ってきた子どもたちに、「今日からは、この学校を一緒に盛り上げていく『仲間』です。みんなで楽しいものにしようぜー!」とあいさつをした。生徒たちから返ってきた「おー!」は少しちぐはぐだったが、声が返ってきてうれしかった。

「教師ってね、みんなの前でしゃべってるじゃないですか。100%でしゃべっても、後ろに届く声は小さくなる。前の子が『やかましい』って思うくらい、身振り手振りも大げさに、熱気を込めてしゃべって、初めて全員に伝わるものなんです。だから、誰にも負けないくらい元気でいるっていうのは、僕の信条。歳のせいか、あんまりやると疲れますけどね(笑)」(奥平校長)

スクーリングが進むにつれて、これまでいくつかの学校に勤めていた奥平校長は、N高の特徴に気がついた。

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ネットの高校、はじめました。—新設通信制「N高」の教育革命

崎谷実穂

2016年4月、KADOKAWA・ドワンゴグループがインターネットを活用した新しい通信制高校「N高」を開設しました。2年目となる今年度の新入生は2002人。新設の通信制高校としては異例のスピードで生徒数が増えています。 なぜ出版社...もっと読む

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コメント

yaiask 伊計島の自治会長さんの、N高生へのあたたかい目線が泣ける 約3年前 replyretweetfavorite

OsamubinLaden 同じ釜の飯を食うってことがどうしても必要なんだろうな  約3年前 replyretweetfavorite

coco_aki_ 楽しそうな高校でうらやましい cakesで今一番楽しみにしてる連載 約3年前 replyretweetfavorite