SNSツール「Slack」で彼氏・彼女はできる?
生徒間や教職員とのコミュニケーションツールとして使われるSlack
Slackで仲良くなった子同士は、LINEのIDを交換する。そうして、グループでチャットしたり、通話したり、時にはリアルで会ったりもして、親交を深めていく。オンラインゲームで、遠くにいる友達と遊ぶこともある。
中野くんも、「Slackでコミュニケーションがとれてると、初めて会う気がしないんですよね。堅苦しいあいさつはなしで、『ああ、◯◯くんだね、よろしく!一緒にイベント回ろうぜ』と話が早いんです。会ってすぐにバカ騒ぎできるとかって、他の通信制高校だとないことなんじゃないかなって思います。イメージしていた高校生活とはぜんぜん違うけど、『こんな高校ありなんだ!』っていう驚きや楽しさは、N高に入ってからずっと続いています」と語る。
とはいえ、中野くんはネットよりリアル志向なのだそうだ。ネットでチャットしているよりも、リアルなイベントで人と会うほうが楽しいと感じている。どういうコミュニケーションを好むかは人それぞれだ。いろいろ知るなかから自分に合った方法を選ぶことが大事なのだと思う。
奥平校長は、昔は空間的な近さが親しさのバロメーターだと思っていたが、今は違うと考えるようになったという。「僕は普段沖縄にいますが、東京のスタッフと常に連絡を取り合ってる。そうすると、空間的な距離はなくなってしまうんですよね。今日は沖縄で同じ校舎にいる先生より、東京のスタッフとのほうが多くしゃべったな、なんて日もある。子どもたちにとっても今は、空間的な近さで仲良くなることと、ネットで精神的な距離を縮めて仲良くなることの両方が混在している状態なんだと思います」(奥平校長)
おまけとして、Slackで彼氏・彼女はできるのだろうか?という疑問にも答えておこう。これも、どうやらできるらしい。Slackで交際が始まり、実際に遠方から会いに来て、実家に泊まって帰る、ということも起こっている。その一方、Slackで付き合い始め、一度も会わないうちにSlackで別れた(どういうことだろう)、なんていう話もある。もちろん、リアルの場で会って恋が芽生えることもある。たいていはSlackで出会ったあと、やりとりはLINEに移行するため、学校の運営側が把握している数はそこまで多くはないが、カップルはいくつか生まれているようだ。
N高生同士で付き合っている女子生徒の保護者は「N高生の子たちは、ネットで知り合って付き合ってもたいてい遠距離恋愛になるから、すごく真剣に考えて付き合うみたい。うちの子も遠距離で、よく『寂しくないの?』とまわりに聞かれるのだとか。でも、相手の子が『会えない時間も楽しんで積み重ねているから、全然苦じゃないよ』って言ってくれたんだって。いい人と付き合ってるんだなと、うれしくなりました」という話を教えてくれた。聞いているこちらが、甘酸っぱい気持ちでいっぱいになった。青春である。
Slackは荒れたりしない?
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