それでも僕は、外科医をやめない

独身をこじらせきった男、雨月。結婚しました

担当編集ですが、わたくし怒っています。今回は担当編集として、本音を書かせてもらいます! 残念ですが、「おめでとう」を言う気分になれません。その理由は皆さん、すでにお察しかもしれませんが、読者様に対してあれほど結婚の悪口を言ってた男がですよ……あっさり「結婚しました」なんてよく言えるな、と。ちょっと今の彼の気持ちを皆さんで聞いてみましょう。

こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。

四月も半ばを過ぎ、新しい環境にようやく慣れてきた方が多いのではないでしょうか。四月は緊張したまま突っ走るためあまり疲れを自覚しないものですが、そのせいで「五月病」なんてものが出来てしまいました。ご自身が思っているより遥かに心も体も疲れていますから、この四月下旬のタイミングでちゃんと休息を取るようにしましょう。休息は、体だったら一日中寝ていてもいいですし、心だったら三月までの懐かしい人や家族に会いに行くのがいいと思います。気分をちゃんと変えてくださいね。

突然ですが、タイトルにもありますように、私の結婚のご報告を致します。なにもわざわざ書かなくてもいいと言われるのですが、これまで「独身こじらせ男」で皆様とお付き合いしていた手前、隠しているのは不義理と考えご報告致すことにしました。お相手は、この連載にも出てきたことのある女性です。この連載にはかれこれ100人くらいの女性が登場しますので、どなたかはご想像にお任せ致します。どんな人かというと、まあコジ男と結婚してくれる位ですから、とてもいい人です。もちろんこの連載のこともご存じです。

本当にいい人なんですよ。ノロケでうんざりします? いえいえ、ちょっと考えてみて下さい。特に女性読者の皆さん、自分の彼氏や夫が恋愛コラムを書いていて、取材とはいえしょっちゅう美女と呑みに行っていたら嫌じゃないですか。そしてドヤ顔で「結婚怖い」とか「こじらせ」とか言っていたら嫌じゃないでしょうか。この辺りは人気恋愛コラムニスト、林伸二さんの奥さんにも伺ってみたいところ。

なぜ私が結婚したのか。結婚への恐怖がぬぐえた訳ではありませんが、私の生活の大きな変化もあり、また付き合っていた相手の尋常ではない覚悟を見て、これは結婚しようと思ったのです。そしてベストセラー作家の知人が、「結婚はクリエイティビティを妨げるどころか、加速するんだよ」と私に言ったその一言が私の背中を押したのも事実です。

結婚に至るいきさつや、付き合ったきっかけなどは私ひとりの話じゃないので、許可をもらえたら書きたいと思います。なにせ、この連載は私と結婚してくれた人のお姉さん(私の義姉ですね)を含む多くのリアルな知り合いが読んでいらっしゃるのですから。本当ならいつものように「結コジ(ケッコジ)しました」とか書きたいところですが、今回は慎重です。 私はこうして生まれて初めて結婚をしたわけですが、それに際して初めて知った衝撃の事実がありまして、ぜひとも皆様にシェアしたい。目次は以下の通りです。

目次

1,結婚といえばあの雑誌、信じられない重さ
2,結婚はコストがかかる
3, 結婚するとモテる

1,結婚といえばあの雑誌、信じられない重さ
ゼクシィ。恐ろしい響き、ゼクシィ。セクシーでもタクシーでもない、ゼクシィ。 私は独身をこじらせていた頃(とは言っても先月までですが)、この単語が本当に嫌いでした。だって私は10年以上も結婚への強い恐怖があったのです。しかし、結婚が決まった時におそるおそる私、コンビニでゼクシィを見てみました。すると、恐るべきゼクシィは、恐るべき重さ。これで頭を殴ったら頭蓋内出血はまぬがれなさそうと感じるほどの厚さ。もうこれは「鈍器(どんき)」と呼んでいい。

なぜか人に見られないよう周りをきょろきょろしてから、私はレジへ六法全書のようなゼクシィを持って行き、購入しました。調べるとだいたい5kgくらいあるみたいですね。コンビニのビニール袋が悲鳴をあげています。帰宅すると早速、中を開きました。すると、なんだこりゃ、ページのほとんどは結婚式場などの広告ページ。こりゃすごい。なんでこんな広告ばかり見せられるのに、金を払って買わなきゃならないんだ。500円も。そんなことを思いつつ、ちょっと調べて見ました。ゼクシィは創刊が1993年、月刊で、なんと発行部数は約30万部。そんなに売れるのですねえ。広告収入も大きいでしょうから、かなり儲かってそうですね。

一応結婚業界での競合他社はいて、「みんなのwedding(みんうぇ、と呼ぶそうです)」というものがあります。それでもまだまだゼクシィの寡占状態のようです。

2, 結婚はコストがかかる
これはある程度予想していたことでしたが、やはり結婚というものは金と時間がかかるものでした。全然知らなかったのですが、結婚って、すっと簡単にできるわけではなく、乗り越えるべきタスクが沢山あるのですね。 相手の親への挨拶、自分の親への挨拶、両家顔合わせですでに3回の会食。そして結婚式に向けた見学会なんてものがあったり、予約して見学に行ったり。だいたいネットでわかるかな、と思っていましたが、結婚式ってやっぱり会場に行ってみないと雰囲気などはわからないものですね。過去に私は30以上の結婚式に参加していますが、残念ながら一つも覚えていません。だからどこでもいいような気もしますが、まあこの辺りは相手の希望で決めたいところです。

お金に関しても、招待客の人数で披露宴の費用は変わるらしく、私の規模、150人招待だと少なくとも700万円くらいはかかるそう。何箇所か見積もりを出してもらいましたが、名が通ったところでは似た値段でした。それを、業界の人たちは「ご祝儀で500万円位は回収できますから、自己負担は200万円程度になります」という不思議なロジックで攻めてくるのですね。ああ、自分が払うのは200万ならまあそんなもんか、といつの間にか思ってしまう。これには驚きました。キーワードは「一生に一度のことですから」と「日頃の感謝の気持ちを込めて」です。これでテーブルクロス代やら花代が10万、20万円と上がっていくのですね。新婚カップルの見栄や感謝、特別感という心理を研究し尽くしたビジネスで、これは大変勉強になるところですね。

かくいう私も、こんなところでケチケチしてはカッコ悪いと、パーっと豪華な披露宴にしてしまいそうです。

3, 結婚するとモテる
こんな釣りタイトルで恐縮なのですが、これは実は実感しておりません。有名な話ですが、「彼女がいた方がモテる」というのは常識ですよね。 私のコジ友の何人かが最近次々と「卒コジ(=結婚)」したのですが、その先輩たちが耳打ちするんですよ、「おい雨月、ここだけの話、結婚してる方がはるかにモテるぞ」って。なぜなんでしょうね、私にはその理由はまったくわかりません。

ですから、聞いてみました。妻となった彼女に。

「何言ってんの、それは違うでしょ。結婚したら人としての好感度が上がるのは間違い無いけど、恋愛市場でモテるようになるわけじゃない。表面的にはモテるようになるように見えるのは、女性の既婚者とか既婚男性に惹かれるスジの悪いマーケットが広がるだけなのよ」

「スジの悪い……」

「あとは、女性が言う『人として好き』を、既婚男性が勝手に恋愛感情と履き違えるだけってこと」

なるほど。圧倒的な説得力に打ちのめされた私でした。 こんなことに驚きつつも、ゆっくりと時間をかけて「結婚」という新しい生き方をやっていきたいと思います。まだ「結婚恐怖症」の頃の癖が抜けず、デパートでブライダルフェアをやっていたら目をそらしたり、相手が「結婚」という単語を発すると冷や汗をかいているのですが。

そんな訳でこれから当欄は、これまでのようなハードコアなこじらせコラムから、ちょっと雰囲気を変えて続けていきたいと思います。どうぞ、今後とも宜しくお願い申し上げます。

<雨月のひとりごと>

これが婚姻届。お互いの本籍が必要だったり、戸籍謄本が必要だったり、保証人に本籍まで書いてもらったりとなかなかややこしい書類でした。死亡届とちょっと雰囲気が似ていましたが。

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それでも僕は、外科医をやめない

雨月メッツェンバウム次郎

高学歴エリート集団だと思われがちな外科医の世界は、実は、毎日人を切り刻んでる特殊な世界です。現役医師が語る外科医の世界は、とっても不思議な世界。毎日、さまざまな患者さんと接し、手術をするなかで感じたことを、ありのままに語ります。not...もっと読む

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コメント

yo_satsuki 本編よりも冒頭の5月病に納得してしまった… 約11時間前 replyretweetfavorite

hokkai7go 結婚した途端に面白くなくなってる事実が面白い。そのおかげで最後まで読めた 約22時間前 replyretweetfavorite

sobersobersober 雨月さんが!と思わず笑いが(笑)。おめでとうございます。奥さまの望むような素敵な式になりますよう 2日前 replyretweetfavorite

kthkr0214 |雨月メッツェンバウム次郎 @ugetsujiro |それでも僕は、外科医をやめない 雨月氏!ついに死亡届…じゃなかった。結婚届けを提出\( ˆoˆ ) 世にはびこるこじらせた男女の希望! https://t.co/61GuhDAd7R 2日前 replyretweetfavorite