ブスは「誰も望んでいないのに、そこにいる」ことに関しては一日の長がある
「待たせたな、ドブスども。俺は帰ってきた」
今のは無人の武道館に侵入して、警備員に取り押さえられながら言った。
ともかく、「ブス図鑑」再開である。 何となく戻ってきてしまうような気はしていた。それも読者の熱烈な要望に応えて、とかではなく自主的にだ。ライブだって、客が誰一人「アンコール」と言わなくても、一定時間経てば、アーティストは舞台に戻ってくる。
まさに今、大学デビューを「個性派」で飾ろうとしたブスの装い=上はヴィヴィアン・ウエストウッド+下はしまむらという「HiGH& LOW」を狙って「LOW&LOW」になってますよ琥珀さん、という衣装を脱ぎ捨て、黒地に「B」と書かれたライブTシャツを着てステージに立っている状態だ。
Bは「ブス」あるいは「ババア」、もしくはストレートに「BAD」でも構わない。Bという頭文字は、悪い意味で無限の可能性を秘めているので、しゃらくさい映画のように、解釈は観た者の感性に任せる。
つまり、「ぜひ戻ってきてくれ」と言われたわけではなく、どちらかというと「ほとぼりが冷めたので、またやりますか。ブスを」という担当の「LOW&LOW」なテンションの要請に、「そうですね」と「ZERO&ZERO」のやる気で応えた次第である。 このように、ブスは「誰も望んでいないのに、そこにいる」ことに関しては一日の長がある。なにせ本人が一番望んでいないのだから、間違いない。
しかし、何故またテーマが《ブス》なのか。