スーツの靴とベルトは兄弟
靴とベルトは兄弟です。簡単なようで案外難しい両者の組み合わせを極めると、スーツスタイルにおける小物選びは、グンとレベルアップします。
端的に言えば、靴とベルトの色を同系にまとめること。両者は同等に見られるアイテムであり、色を合わせておくべき「押さえどころ」です。
ただ同系色にすればいいのではなく、ビジネススタイルにおいての理想を言えば、ほとんど同じ色であるのが望ましいです。微妙な差異があると、かえって気になってしまいますから。
たとえば靴もベルトも黒であれば、ほとんど違いはありませんから、それほど難しくありません。厄介なのはブラウンです。ブラウンといっても赤系もあればダークブラウンもあり、ひとくくりにすることはできません。ほとんど別物と言ってさしつかえないでしょう。
そこで、靴やベルトをお店で買い求める時、ぜひやっていただきたいのは、購入(予定)品に合わせたいものを着用していく、あるいは持参すること。
靴を買いたいのであれば手持ちのベルトをつけていく。ベルトを買いたいのであれば合わせたい靴を履いていく。そして、その場で色合いを参照するのです。
勘で選ぶとほぼ失敗します。人の記憶はあやふやなものですし、何よりお店の照明など判断を狂わせる要素もあります。(スーツ選びでも同じでしたね)靴やベルトの実物がそこにあり、同じ環境下で照らし合わせてみる、という方法でミスジャッジを回避してもらえればと思います。今後は「思っていた色と違う」と、帰宅後に落胆することのないように。
神が宿る!?抜かりない靴下
スーツスタイルの総仕上げを決めるのは靴下選びです。「神は細部に宿る」という言葉があるように、チラリと見える靴下もぜひ抜かりなく。
スーツスタイルにおける靴下は「ロングホーズ」がおすすめ。いわゆるハイソックスのことですが、膝の下まで伸びる長さが特徴です。なぜ長い靴下が好ましいかといえば、背景に「すね毛問題」と「快適さ」が挙げられます。
まず、スーツの下に短い靴下を履いてしまうと、足を組んだ時や電車の座席に座った際に、パンツの裾からすね毛が覗いてしまいます。これはマナー違反。たとえすね毛が生えていなくても、素肌がそのまま見えるのはNGです。一般的なビジネスソックスでも問題はありませんが、ズレ落ちて体毛がチラリと出ている男性を多々見かけます。本人からは見えないので、気づかないのも無理はありませんが……。やはり全身のコーディネートはばっちりでも、靴下が短いがためにすねがむき出しになると、とたんに残念に見えてしまうから不思議。とてももったいないことです。
私がロングホーズをおすすめするもう一つの理由は、何より長い靴下の快適さです。冬は暖かさを求めて着用される方がほとんどだと思いますが、夏も意外におすすめです。というのも、汗をかく夏場はスーツのパンツの裏地が素肌にベタッと張りついて、なんとも言えない不快感がありますよね。その点、長い靴下は汗を吸い取ってくれるため、パンツの中のジメジメを軽減し、快適さを維持してくれます。
これは一時期、ステテコが見直された理由と同じですよね。「冬はあったか、夏は涼しい」は正義。ぜひオールシーズンでロングホーズを着用してみてください。
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