お笑い芸人の小藪千豊さんという方のツイートが話題になっていた。
20年以上アメリカで暮らしている私は、彼のことをまったく知らないのだが、気になって元のツイートを読んでみた。
「新幹線のリクライニングを倒してもいい角度までしか倒れない椅子にしていただけないでしょうか マックス倒したら怒られました 怖くてどこまで倒してよいかわからないよ 倒せるけど怒られるグレー角度を存在させないで 基準ちょうだい マックス倒していいと思ってた 倒してよい角度おせーて?」(2017年3月30日 | Twitter)
後ろの人に「倒しすぎでしょ」と怒られたらしい。
こういう話は、世界中どこにでもある。
日本だけでなく、海外のさまざまな場所で、独自のローカル・ルールがある。
私も海外での経験を通じて、自分がなんとなく当然の常識だと思っているマナーを知らない人がいて、私自身も異なる文化圏に身をおけば、誰かにとって非常識な行いをしてしまうことに気付かされる。
暗黙のマナーというより厳しい掟
新幹線の中でリクライニングシートをどこまで倒していいかの問題に話を戻そう。
小籔さんは続いてこう書いた。
「リクライニングシート問題 JRとか規定はないんかな 怒る角度はどこかは 人それぞれすぎてわからんよ JRはどう思ってるんやろ そこハッキリ断言してほしいな なら揉めへんのに お互いストレスないよね 俺はマックス倒してよいに一票なんやけど ちゃうんかなっっ♡ 倒してよい角度おせーて♡」(2017年3月30日 | Twitter)
実を言うと、私はこの事件にちょっと驚いた。というのは、日本には「新幹線のシートは後ろの人に挨拶してから倒す」という暗黙のルールがあると思っていたからだ。
前の席の人に無言で倒された人の「失礼だ」という苦情をフェイスブックなどで何度か見かけていたので、これは「マナー」というよりも、「掟」に近いと感じていた。
初めて日本でのリクライニングシートの掟を知ったとき、「もしかして、ほかにも私が知らない掟があり、うっかりそれらを破る悪人になっていたかもしれない」と青ざめた。私のような海外在住者は、久々に帰国する母国のルールに疎い。そこで、自覚なしに掟破りをしていることがけっこうあるのだ。
屋内でのおしゃべり
「常識はずれ」という批判的な視線も嫌だが、いきなり怒られると、気分の悪さを長く引きずることになる。できれば避けたいものだ。
しかし、日本はなにかと暗黙のルールが多い。
だから、アメリカよりも、日本に戻っているときのほうが緊張する。