前回、投資信託はこわくないというお話をしました。ひとくちに投資信託といっても、販売されている商品は6000本以上もあります。なかには、高度な金融技術を使った複雑なもの、手数料がとても高いものなどもありますが、みなさんが資産形成を考えるときに活用するのは、なるべく低コストで、シンプルなものがいいでしょう。
知っておくべき2つの運用スタイル
まず、知っておいてほしいのは、投資信託には「パッシブ運用」と「アクティブ運用」という2つの運用スタイルがあるということです。
パッシブ運用というのは市場の平均的なリターンを追求する投資手法のことで、その手法をとりいれた代表的な商品が「インデックスファンド」です。
インデックスファンドというのは、目標とする指数に連動するような運用成績をめざす投資信託のこと。指数というのは、ある市場の全体の動きを反映するようにつくられたモノサシのようなもので、日本株なら、「日経平均」や「TOPIX(東証株価指数)」などが代表的なものです。ほかにも、アメリカの株式であれば、NYダウやS&P500といった指数などもありますし、アメリカだけでなく、フランスやイギリスなど日本を除く先進国22カ国の株式市場をカバーする指数などもあります。
こうした指数に連動するように設計された投資信託を総称して、インデックスファンドといいます。インデックスファンドは、目標とする指数の変動がそのまま投信の運用成績につながります。たとえば、TOPIXに連動するタイプのインデックスファンドであれば、TOPIXが上がると、インデックスファンドの価格(基準価額といいます)も上昇し、TOPIXが下がるとインデックスファンドの価格も下落します。
これに対して、アクティブ運用とは、目標とする指数(日本株ならTOPIXや日経平均株価)を上回る運用成果をあげようする手法で、「アクティブファンド」はその手法をとり入れた投信のことをいいます(目標を持たずにひたすらいい成績をあげることをめざすものもあります)。調査担当者が個別の会社を分析したり、運用担当者が市場を分析したりして、将来成長しそうな、あるいは企業価値に対して割安で将来値上がりしそうな会社などに投資を行います。
つまり、アクティブ運用の投信はプロたちが「ほかの人に先駆けていい銘柄を探し出そう」とするのに対して、パッシブ運用の投信は「市場全体と同じくらいの収益を出せればいい」という方針で運用しています。
こうした説明を聞くと、アクティブ運用のほうがよさそうに思えた方が多いのではないでしょうか。しかし、よい成績をあげようと頑張るアクティブファンドのうち、長期的にインデックスファンドを上回る投信は少数です。アクティブファンドはインデックスファンドに比べて手数料が高いこと(=運用成績の足をひっぱる要因になる)や、短期的にいい成績を上げられても長期にわたっていい成績を上げ続けるのが難しいというのがその理由です。一部には長期的にいい成績をあげるアクティブファンドも存在しますが、それを事前に見分けるのがむずかしいという問題もあります。
手数料の安いインデックスファンドを選ぼう
ですから、資産形成の中核として投資信託を活用するのであれば、インデックスファンドをおすすめします。理由は2つあります。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。