練馬と渋谷、ちゃんみなとDAOKO
大谷ノブ彦(以下、大谷) 前回は椎名林檎とポルカドットスティングレイの話をしてきましたけど、他にも最近気になる女性アーティスト多いですよね。
柴那典(以下、柴) 最近出てきた女の子でいうと、僕は断然ちゃんみなをプッシュしたいですね。最近のブームの中で「JKラッパー」として出てきて注目されてる感はあるけど、この子はヤバい。マジで才能ある気がします。
大谷 ちゃんみな、いいですよね。「練馬のビヨンセ」って自分で言ってる(笑)。
柴 いいキャッチコピーですよね。
大谷 噂によるとそう言い始めたのは渡辺直美に似てるからって聞きましたけど。
柴 そうなんだ? その真偽のほどはわからないけど、確かにに言えるのは、ちゃんみなって韓国と日本のハーフで、渡辺直美さんも台湾と日本のハーフなんですよね。
大谷 そうだった!
柴 だから、ある種どちらも日本社会のマージナル・ウーマンなんですよ。文化の境界線上にいる。
大谷 なるほど。
柴 一方はお笑いだし、一方はヒップホップだけど、そういう二人がビヨンセに憧れるっていう構造は実は同じだという。
大谷 おもしろいなあ。ちゃんみなって、キツそうに見えて親しみやすいところがある気がするんですよね。「男に負けてられるか!」みたいな打ち出しをしてるけど、女性特有のしなやかさがあるというか。
柴 「Princess」ではイジメられてた時期もあったとも歌ってますね。
大谷 そういうのも、自分というものがちゃんと記号化されていて、超今っぽい人だと思うな。
柴 僕がちゃんみなを知ったのがTeddyLoidと一緒にやった『ダイキライ』だったんですけど、この曲ってDAOKOの『ダイスキ』のアンサーソングなんですよ。
大谷 ほんとだ! しかも意味が逆になってる。
柴 僕の中ではちゃんみなとDAOKOの存在感も対照的なんですよね。ちゃんみなは攻撃的に外に向かうタイプで、DAOKOはちょっと内に向かう感じがあるというか。
大谷 しかもDAOKOには『ShibuyaK』って曲もありますもんね。練馬と渋谷だ! だからやっぱりちゃんみなのほうがヤンキーっぽいっていうか。
柴 そうそう(笑)。 練馬と渋谷で「ダイスキ」と「ダイキライ」を歌ってる二人の対比がすごく面白いんですよ。
SHISHAMOはユーミンなんじゃないか説
大谷 SHISHAMOはどうですか?
柴 SHISHAMOは出てきた時と今では風格が違う感がありますね。
大谷 僕も最近めっちゃいいなって思っていて。DJで地方に行くとすごく感じるんですけど、例えば東京の都市部で盛り上がってるシティポップとかインディーロックって、地方にはあんまり届いていない感じがするんですよ。ズレがあるというか。でもSHISHAMOは届いてる。
柴 僕の仮説なんですけど、SHISHAMOはユーミンなんじゃないか説があるんですよ。