象徴天皇」とは、国民とともに生き、国民のために祈ること

昨年7月のNHK報道より1ヶ月後の8月8日、天皇陛下ご自身のお言葉がビデオメッセージとして放映されました。高齢を理由とした「譲位」とされながら、今も全国各地、海外まで足を伸ばされ、行為に励れておられます。その真意とは何か。今回も天皇陛下のお言葉を読み解きながら、なぜ「譲位」が必要なのか、「象徴天皇」とは何かを改めて考えていきます。

「人々への深い信頼と敬愛」を確信された天皇陛下

   陛下が皇位を継承されてから28年近く、常々大切にしてこられたことは、「天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ること」であり、そのため「我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来」られました。

 さらに、そういう「事にあたって」のお心懸けは、「時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なこと」だと考えられ、「日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的(公的)行為として大切なものと感じ……皇后と共に行って来た」と仰っておられます。

 しかも、そのような公的行為が必要なのは、天皇が単に「象徴」という憲法上の地位にあればよいのではなく、「国民統合の象徴としての役割を果たす」べき存在なのですから、一方で国民に対して「天皇という象徴の立場への理解を求め」ると共に、他方で天皇ご自身も「国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて」おられるというのです。

 その結果、今上陛下は「国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ」ることになり、「この認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得た」のだと仰せられ、それを「幸せなことでした」と、感慨深く振り返っておられます。

 このあたりには、本質的にきわめて重要な真実が示されていると思われます。我が国では、大昔から天皇(すめらみこと)の行為として、「み(見)そなけす」「き(聞)こしめす」「し(知)ろしめす」という大和言葉があります。みずからご覧になり、お聞きになり、お知りになること、つまり実際に見て直接に聞いて、本当に知ることこそ、天下万民(おおみたから)を「すべる(統合する)」基本にほかなりません。

 とりわけ「みそなけす」ことは、「国見(くにみ)」と称され、大王(おおきみ)=天皇が宮殿を出られて現地へ行かれ実情を見聞きして「国賞(くにほ)め」をされますと、おのずから幸せがもたらされますので、お出ましを「行幸」と申します。

古来より変わらない、天皇と国民のつながり

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象徴天皇「高齢譲位」の真相

所功

天皇陛下の「生前退位」を示唆する報道のあった昨年夏。8月には天皇陛下ご自身がお言葉を発表され、現在も「譲位」についての話し合いが行われています。この連載では、皇室問題のスペシャリストが、昨年夏の報道と、「天皇のお言葉」の真意を読み解き...もっと読む

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