天皇陛下自ら形作られた「象徴天皇」のあり方

昨年7月のNHK報道より1ヶ月後の8月8日、天皇陛下ご自身のお言葉がビデオメッセージとして放映されました。そのお言葉は、天皇の務めの重さはもちろん、改めて「象徴天皇」とは何かを考えさせられるものでした。今回は、「天皇陛下のお言葉」を読み解きながら、なぜ「譲位」が必要なのか、天皇ご自身が形作ってきた「象徴天皇」とは何かを考えます。

「2年後には平成30年」と言われた真意

 天皇陛下の大事なことは、8月8日に放映された「象徴としての務めについての天皇陛下のお言葉」を宮内庁ホームページや主要な新聞などに掲載されているフル・テキストを、何遍でも熟読して、その真意を正確に理解できるよう努めることだと思われます。

 これより「象徴としての務めについての天皇陛下のお言葉」の全文を区切って引用しながら、私流の解説を加えていきます。

 まず冒頭で次のように述べておられます。

(1)戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には平成30年を迎えます。私も80を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。
 本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が 望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、 私が個人として、これまでに考えてきたことを話したいと思います。

 この「お言葉」を拝聴しながら、いきなりハッと驚きましたのは、冒頭で「2年後には平成30年を迎えます」とわざわざ言っておられることです。これは単純に区切りの良い年数をあげられたのではなく、深い意味のある年次だとも感じられます。なぜなら、前述のように、7月の第一報でも、はじめに「天皇陛下が……数年以内の譲位を望まれている」と伝え、また終り近くで「仮に、4年後の東京オリンピック・パラリンピックの前に退位される……」と例示されています。

 これをまともに受けとめるなら、4年後(2020)の前年、つまり平成31年には今上陛下から現皇太子殿下への譲位が実施できることを希望しておられる、と読むことができるように思われます。

 その上、「お言葉」放映後に発行されました『文藝春秋』10月号のスクープ記事によれば、「天皇は参与会議の席で、かなり早い段階(数年前)から〝平成30年(2018)までは頑張る〞と仰り、それまでに目途をつけてほしいというお気持ちを伝えて」おられたと報じられています。

 この「30年」という年数は、中国漢代の辞書『説文(せつもん)』に「三十年を一世となす。」とあり、「世は……十を三つ合わせて三十を意味した。卅と同じで、転じて三十年、一代……の意を表わす」(小川環樹氏他編『角川新字源』)と説かれています。

 これらを総合しますと、今上陛下は早くから、一世代の「30年」に達するまで何とか在位して「象徴天皇の務め」を全力で果たすけれども、その年末に満85歳を迎えるので、おそらく年明けの平成31年(2019)早々あたりに、皇太子殿下(その2月で満59歳)への譲位をすることができるようにしてほしい、と考えておられるであろう、と拝察して大過ないと思われます。

 しかも、これは「社会の高齢化が進む中で」、一般国民も平均寿命が80歳代(男性80歳、女性86歳)という超高齢化社会において、ご自身のことだけでなく、今後の皇位継承者まで含めて「どのような在り方が望ましいか」を考えに考えぬかれた上で問題提起をされたことは、明らかでありましょう。

「象徴」と位置づけられた天皇の望ましい在り

 ついで、「象徴としての務め」を実際に担ってこられた今上陛下のお立場から、具体的に次のようなのことを述べておられます。

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