ローマ法皇も「高齢」を理由に「生前退位」
ヨーロッパで相次ぐ譲位
天皇陛下の「生前退位」を具体的に考える例として、海外の王室で近年実施された譲位の例が次のごとく報じられています。
(11) 海外では、ここ数年、国王などによる「生前退位」の表明が相次いでいます。3年前の2013年には、1月、日本の皇室とも親交の深い、オランダのベアトリクス女王が、王位を皇太子に引き継ぐと発表し、続く2月には、ローマ法王のベネディクト十六世が、高齢による体力の低下を理由に、ローマ法王としておよそ600年ぶりとされる「生前退位」を表明して、世界の注目を集めました。さらに、この年の7月、同じく皇室と親交の深いベルギーの国王アルベール二世が、高齢などを理由に、皇太子に王位を譲ると表明しました。また、おととし(2014年)にも、スペインの国王ファン・カルロス一世が、皇太子に王位を譲っています。
このようにヨーロッパでは、近年「生前退位」(譲位)が相次いで行われています。もう少し説明を加えますと、まずオランダ王国では、ウィルヘルミナ女王(68歳で退位・1948年)から長女のユリアナ女王(71歳で退位・1980年)を経て即位した長女のベアトリックス女王が、33年後の2013年1月、「次代に託する」ため、退位を表明し、4月に75歳のお誕生日を迎えて、長男のアレクサンダー皇太子(46歳)に譲位しています。
つぎにベルギー王国では、ボードゥアン一世(在位1930〜1993)の崩御により即位した弟のアルベール二世(在位1993〜2013)が、2013年7月、79歳という高齢と健康を理由にあげ、長男のフィリップ皇太子(53歳)に譲位しています。
さらにスペイン王国では、1975年フランコ総統によって国王に指名されたファン・カルロス一世が、2014年6月、76歳で健康不安などを理由にあげ、長男のフェリペ六世(46歳)に譲位しています。
なお、バチカン帝国のローマ法王は、血縁による世襲ではありませんが、世界各地の枢機卿により選ばれ、終身在位を慣例としてきました。それが、2013年2月、ベネディクト十六世(85歳)は、体力の減退を理由にあげて退位し、代わって選ばれたフランシスコ(76歳)が就任しています。
他の王室も、高齢化問題は深刻
「終身在位制」の多いアジアでも「生前退位」の波が
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