​内と外を隔てないスタイル【第35回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』の全原稿を火・木の週2回で公開中!第3章のテーマは「街で暮らす」。ゆるやかに外とつながる暮らし方から、これからの共同体の姿が見えてきます。
ファッションが身軽に、カジュアルになりつつあるのは、一時的な流行ではないようです。どういうことでしょうか。

内と外を隔てないスタイル

 かつてファッションは、「武装」「(よろい)」でした。自宅ではくつろいだ日常着であっても、ひとたび外に出かける時には、だれから見られても恥ずかしくないように武装し、備えなければならない。そのために人はおしゃれをしてきたのです。

 それが極端に走ると、高価で最新流行の外出着はたくさんあるけど、自宅ではゆるい着古したジャージしか着ていない、なんて人もいました。バブルのころ、まだ自家用車を自分で持つのがカッコいいと思われていたころには、「貧乏だけど無理してスポーツカーを買って所有し、生活に割くお金がないので住んでる木造アパートでは毎日カップラーメンを食べている」なんていう無理無理の生活をしている若者もいたりしました。出かけるときはポルシェで颯爽と見栄を張り、でも家ではよれよれの生活。内と外を思いきり壁で隔ててしまう生活スタイルです。

 ファッションもこれと似たようなところがある。外出して仕事に出かけるときやデートのときは、きちんとおしゃれしたい。でも家にいるときはだれも見ていないからいいじゃないか、っていうのはスポーツカーの若者と同じように、内外を分け隔てる生活です。

 2015年にベストセラーとなった『服を買うなら、捨てなさい』(宝島社)という本があります。著者のスタイリスト地曳(じびき)いく子さんは、誤ったおしゃれ観が広まってしまっていると書いています。

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ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

初回を読む
そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート! ミニマリズム、シェア、健康食志向……今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?深い洞察をゆるやかな口...もっと読む

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コメント

fumikazu1979 https://t.co/5NbZtfqCv0 約3年前 replyretweetfavorite

sasakitoshinao 軽く着やすくシンプルになっていく服。「だんだん裸に、裸足に、近づいていく。まるで原始の時代の世界ですが、しかし実は極度に発達したテクノロジーに裏打ちされている」 約3年前 replyretweetfavorite

anonimastudio 身軽でカジュアルなファッションの人気は、一時の流行ではなく本質的な変化の表れでした。 @cakes_news: |そして、暮らしは共同体になる。|佐々木俊尚 @sasakitoshinao https://t.co/QSoNRxeG9y 約3年前 replyretweetfavorite

takaakishigenob 内と外を隔てないスタイル【第35回】|佐々木俊尚 @sasakitoshinao | 約3年前 replyretweetfavorite