錬金

栴檀は双葉より芳し

1985年にタイムスリップした俺は、13歳の、オッサンこと堀井健史に会う。この20年後に、時価総額1兆円のIT企業ネクサスドアの社長だった俺を嵌めて、刑務所送りにした張本人――。でもこのときの堀井少年にもちろん罪はない。堀井少年は中学一年生ながら高度なプログラム技術を取得していた。彼がプログラムにこだわる理由とは?
ホリエモンが贈る、感動のタイムスリップ青春小説!話題沸騰の書籍『錬金』を特別掲載いたします。

チビの書生

 7年経ったジョイント・インターナショナルは、店内の品揃えがだいぶ変わっていた。

 けれど店の奥の、常連客が集まるパソコンルームは、変わらず残っていた。

 古畑が、俺を見て懐かしそうに笑った。

「優作さぁん! 久しぶりですね!」

「ご無沙汰してます、古畑さん」

「西島さんに聞きましたよ。シアトルにいたんですって?」

「ああ。まあ」

「しばらく日本にはいるんですか?」

「そうですね。ちょっとゆっくりしようかなと」

「また会社にも来てくださいよ。歓迎しますよ」

 古畑は相変わらずガリガリに痩せていた。しかしジャケット姿が、前より似合っている。雰囲気は少し大人びた。アーキテクトの副社長として、着実に積んできた経験がうかがえる。

 ちょっと驚いたのは、成田だった。

「私たちとしばしば会っていると以前のように、西島さんのお守りを頼むことになりかねません。どうかお気をつけてください」

 ロボットみたいな口の利き方は変わっていない。しかし成田は赤いジャケットに赤いスカート、赤いヒール。そして金色のスカーフに、髪を金髪に染めていた。

 何があったのか? 聞くまでもなさそうだ。

 成田の手元のペンケース、ポーチにハンカチ、下敷きにメモ帳と……身の周りのグッズは『機動戦士ガンダム』のシャア・アズナブル一色に染められていた。

 わかりやすい人だなぁ……と思いながら聞いた。

「成田さん。赤い彗星推しなんですね」

「お陰さまで。優作さんには感謝します。あなたが数年前、『ガンダム』の存在を教えてくれなかったら、私の人生はよりつまらないものでした。シャアは私の師であり、星であり、永遠のアイドルです」

「そ、それは良かった」

 古畑が口を挟んできた。

「普通はアムロじゃないの? 好きになるのって」

「戦場で頬を打たれ、『親にもぶたれたことない』なんて腑抜けたことを言う男は、好きではありません」

 バサッと斬り捨てるような言い方だ。成田は続ける。

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錬金 (文芸書)

堀江貴文
徳間書店
2017-02-21

この連載について

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錬金

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PC市場で世界の頂点に君臨しつつあった日本は、あと一歩のところでなぜアメリカに後れを取ったのか? IT革命前夜、世界を変えた常識破りのカリスマたちの痛快な、失敗と成功――。その全真相をノベライズ。 「心が自由になれば、金も権力も...もっと読む

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コメント

tipi012011 なぜかアニメ化しないかと想像してしまう。成田さんは林原めぐみさんとか。 約3年前 replyretweetfavorite

HHIKARI7 普通に物語が進んでいく。あ、これ小説だったと今さら気付く。ついビジネス書感覚で読んじゃって…。 約3年前 replyretweetfavorite