人間の思考を理解するのは諦めた

「人間は、自分が理解していることを漏れなく説明することができない」という驚きの事実によって、人工知能は冬の時代を迎えます。しかし、ある手法が広まることによって、現在の人工知能ブームとも言える状況が起きます。さて、それは一体どのような手法なのでしょうか。

 人間の思考をコンピュータにトレースしようとした科学者たちの失敗を具体的に見てみましょう。

 たとえば画像を見て、その画像に何が写っているかを評価することは、昔のコンピュータにとって恐ろしく難しい問題でした(この「評価」は、「判断」とするのが国語的に正しいのでしょうが、第3回の説明にのっとり「評価」という表現を使います)。

 画像にコップが写っているかどうかを評価するプログラムを考えてみましょう。コンピュータの記憶力がどれほどよくても、世のなかに無数にあり、今後も無限に生み出されるコップの形状をすべて把握しておくことはできません。

 それにコップのアングルや光の状況によって、同じコップでもまったく異なる写り方になることもしばしばです。

 しかし人間は、見たものがコップかどうかを楽々と評価できるのです。同じような形のバケツやお茶碗とまちがえることはほぼありません。

図1−6 人間がどのようにコップを判別しているかはブラックボックス

 人間がどうやってコップをコップと評価しているのか、それを解明しようと科学者たちは努力を重ねてきました。しかし結局、人間がどのようにコップを評価しているかという「プロセス」を解明することはできませんでした。

 そこで科学者たちはプロセスの解明を諦め、ある種の方向転換をします。

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人工知能はどのようにして「名人」を超えるのか?

山本一成

2016年、電王戦で5戦全勝した将棋AIポナンザ。開発者である山本一成さんは「知能とは何か?」「知性とは何か?」ということを何度も自問することになったそうです。そうすることで、逆に人間の知能がクリアに見えてきたと言います。この思考の結...もっと読む

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コメント

datascience_opt 【データサイエンスおすすめ記事】 人間の思考を全て理解することはできませんが、その必要もないのかもしれません。 --- 『』 https://t.co/xLyhcmGhq3 約2ヶ月前 replyretweetfavorite

MicheleEsperanz しかも、有料登録せずに読める文章の量は連載が進むにつれて短くなってくるという(笑)。>『 3ヶ月前 replyretweetfavorite

datascience_opt 【データサイエンスおすすめ記事】 人間の思考を全て理解することはできませんが、その必要もないのかもしれません。 --- 『』 https://t.co/GPRsFAKWbA 3ヶ月前 replyretweetfavorite

toripan2 第二回と第三回は有料会員にならないと読めなくなってます。この第四回もおそらくもうすぐ。急げ! 3ヶ月前 replyretweetfavorite