吉高由里子・榮倉奈々・大島優子・磯野貴理子・森尾由美・松居直美
吉高由里子・榮倉奈々・大島優子によるドラマ『東京タラレバ娘』を毎週観ているが、毎回必ず盛り込まれるのが、大島優子演じる小雪が父親と切り盛りしている呑み屋「呑んべえ」に集ったそれぞれが三者三様の愚痴や自惚れを漏らすシーン。「タラレバ」とは、「キレイになったら~」や「好きになれれば~」などと仮定の話で盛り上がり続ける様子を指すが、そのシーンを見ながら、1994年から四半世紀近くにわたって続いている磯野貴理子・森尾由美・松居直美による番組『はやく起きた朝は…』(2003年までは『おそく起きた朝は…』、05年までは『おそく起きた昼は…』)を思い出したのである。
『東京タラレバ娘』の3人が討議していることの大半は、『はやく起きた朝は…』の3人によって既に討議されている。現在では日曜朝6時半から放送されているこの番組、見たことのない人のために説明しておくと、磯野貴理子・森尾由美・松居直美の3人が雑談し、読者からのハガキ(メールではなくハガキのみ)を読み上げながら喋るだけの番組である。番組の最後に視聴者からのハガキを募るのだが、そこに記される告知文は「不平・不満・グチ・つぶやき写真大募集」である。不平・不満・グチを受け付けるものの、懸命に解消法を探るわけでもなく、それこそ「タラレバ」話で盛り上がっていく。死ぬ前に食べたいのは餃子だけど、もしも水餃子を持ってこられたら下唇を噛んで生き延びてやる、と磯野が力説する番組なのだ。
より壮大な「タラレバ」
『東京タラレバ娘』では、恋愛や結婚観についての失敗と妄想が折り重なっていく。『タラレバ』の3人は「東京五輪までに結婚して子供を産む」という目標を立てているが、『はや朝』の森尾由美は「私の未来予想」とのパネルを使い、将来の目標を公言していた。30代で男の子を出産、40代には主人と旅行、50代には旅行経験を活かし絵本を出版、60代の健康法はエアロビクス、70代で助演女優賞……このように、より壮大な「タラレバ」で盛り上がっている。21世紀の抱負をパネルに記すように言われた磯野貴理子は「婿」(が欲しい)と宣言したし、ひつじ年にちなんで「ひ・つ・じ」で作文を書くコーナーを設ければ、松居直美は「ひとしれず・つんくと・じょいんとしてみたい」と書いた。何かとハイレベルなのだ。
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