りゅうちぇるを見届けるぺこの精度

今回取り上げるのは、もはや一過性のものではなくテレビの中の人になったぺことりゅうちぇる。昨年末に結婚したふたりですがその勢いはとどまることを知りません。キワモノのように登場したこのふたりは、なぜテレビに居場所を確保することができたのか。武田砂鉄さんが分析します。

理知的な話者・りゅうちぇる

「自分を大切に、って言うけれど、自分の知らない自分に出会ってないこともあるだろうし」(『情熱大陸』2月5日)と述べるりゅうちぇるは、その突飛なメイクやファッションとは打って変わって、常に装飾を排した理知的な話者である。りゅうちぇるが登場したばかりの頃、彼に「ゆとりのアイドル」との呼称がついていたのは、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代ということだったのだろうが、その揶揄を跳ね返す話者だ。

例えば今、文部科学省は「日本の子供たちの自己肯定感が低い現状について」(第38回教育再生実行会議)との資料を作り、その趣旨として「子供たちが、自分の価値を認識して、相手の価値を尊重するとともに、リラックスしながら他者と協働して、自分の可能性に積極的に挑戦し、充実した人生を歩めるよう、我が国の子供たちの自己肯定感が低い要因を分析するとともに、必要な対応策を検討する」と述べているが、この小難しい方針に対してりゅうちぇるはどう思うのだろうか。

教育機関がこのところ、何かと「自己肯定感」を使ってくる。対応策を検討するとあるが、そもそも自己肯定感の低さは一律に対応しなければならないのだろうか。「自分の価値の認識」と「相手の価値の尊重」は必ずしもセット組みできるものではないし、若者が抱える自信の無さを半ば強引にでも充足させれば「充実した人生を歩める」と結論づける姿勢って、危ういと思う。りゅうちぇるが言うように、「自分の知らない自分」に出会うためには「自分を大切に」から揺さぶらなければならない場面もある。「自己肯定感」ってそこまでスペシャルなものだとは思えない。

「実はこう見えて」をかなり速いスピードで開陳
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2017-01-25

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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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kmt564batsui ≪コラム≫ 6ヶ月前 replyretweetfavorite

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pek5845 -コラム- 6ヶ月前 replyretweetfavorite