天皇陛下の「譲位」実現のために、必要なことは何か

昨年夏にNHKの報道によって示された、天皇陛下のご意向。その後の取材により、天皇陛下はすでに6年前から「譲位」を考えていました。では、生前に退位することができない現状の皇室制度を、どう変えていけばいいのか。今回もNHKの第一報を軸に、天皇の譲位問題について最も重要な、「譲位」までの道のりと法整備について説明します。

天皇の「譲位」を阻むもの

終身在位が前提の摂政と臨時代行

 いまは、今上陛下の希望される「生前退位」(高齢譲位)は、現行法制によれば実施することができません。その事情が次のごとく報じられています。

(6)今の皇室制度では、天皇の「生前退位」は認められていません。天皇が崩御した時に限って、皇位継承順位に従って、自動的に次の天皇が即位する仕組みになっていて、天皇は生前引退できない立場にあります。こうした制度のもと、天皇が重い病気などで国事行為にあたれない場合などに限って、代役を務める「摂政」を置くことが認められているほか、一時的な体調不良や外国訪問などの際には、皇太子などによる「国事行為の臨時代行」が行われています。

(7)明治時代半ば、大日本帝国憲法とともに定められた旧皇室典範で、(かつて)天皇の譲位が強制されて政治的混乱を招いた時代があったことなどを理由に、皇位の継承は天皇の崩御に限られました。これは、戦後制定された今の皇室典範にも引き継がれました。宮内庁は、天皇の「生前退位」が認められない理由について……恣意的に退位する懸念もあるなどと説明してきました。

 宮内庁(というより政府)が長らく説明してきたことは、70年前の新皇室典範案を作成し審議した際の「想定問答」と政府答弁記録の繰り返しにすぎません。

 たとえば、平成4年(1992)4月7日、参議院内閣委員会において、宮内庁次長の宮尾盤氏が「退位ということを認めますと、……例えば上皇と法皇というような存在が出てまいりまして、いろいろな弊害を生むおそれがあるということが第一点、それから第二点目は、必ずしも天皇の自由意思に基づかない退位の強制というようなことが場合によったらありうる可能性があるということ、それから第三点目は、天皇が恣意的に退位をなさるというのも……いかがなものであろうかということが考えられるということ」と、従来どおりの見解を述べています。

 これは現行法制の説明として当然かもしれません。しかし、あの昭和天皇が87歳5カ月で大量吐血され、危篤状態が4カ月近く続いても、すでに55歳の皇太子殿下に譲位されなかった(制度上できなかった)、という甚だ厳しい経験をしながら、明治以来の「退位」否定論について何も見直されなかったこと、甚だ遺憾といわざるを得ません。

「譲位」を実現するためなら特例法も

「生前退位」実現への法整備と道のり

 では、それを実現するには何をどうすればよいのか、またそれはいつごろまでに実現することが望ましいのでしょうか。この2点について次のように報じられています。

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皇室問題の第一人者が、天皇陛下の「生前退位」問題を徹底的に解明

この連載について

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象徴天皇「高齢譲位」の真相

所功

天皇陛下の「生前退位」を示唆する報道のあった昨年夏。8月には天皇陛下ご自身がお言葉を発表され、現在も「譲位」についての話し合いが行われています。この連載では、皇室問題のスペシャリストが、昨年夏の報道と、「天皇のお言葉」の真意を読み解き...もっと読む

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