ロックバンドはアメリカで戦えるのか?
柴那典(以下、柴) 大谷さん、ONE OK ROCKの『Ambitions』聴きました!?
大谷ノブ彦(以下、大谷) いやあ、最高ですよね! たまんないですよ。
柴 しかも、アメリカでもメジャーリリースされて、ビルボードのアルバム総合チャートで106位にランクインした。
大谷 その数字ってどうなんですか?
柴 僕はこれ、十分成功と言っていいレベルだと思いますよ。というのも、彼らがやろうとしてることって、すごくハードルの高いことだから。ロックバンドとしてアメリカのメインストリームのマーケットで勝負するという。
大谷 アジア人っていうのもあるでしょ?
柴 もちろんあると思います。でもそれ以上に、アメリカではワンオクみたいなタイプのロックバンドに元気がないんですよ。ロックというのが、イケてる若者が聴く音楽じゃなくなってきている。
大谷 あー、そうなんだ。
柴 チャートでもR&Bやヒップホップやエレクトロニック・ミュージックの方が勢いがある。たとえば世界中の音楽ファンに一番注目されてる野外フェスでコーチェラ・フェスティヴァルというのがあるんですが、そのヘッドライナーをビヨンセとケンドリック・ラマーがつとめる時代ですからね。 もちろんベテランは元気だし、ロックが好きなキッズもいるんですけど、今、アメリカでニューカマーがロックバンドをやるというのは、そういう一部の人たちに向けたカテゴリー商売になってきている。
大谷 なるほど。じゃあロックでアメリカに乗り込もうとするワンオクの戦略はちょっとズレているということ?
柴 いや、そういう状況を重々承知の上でメインストリームで戦おうとしてると思うんです。それは彼ら自身の野望でもあるし、アメリカで所属してる「FUELED BY RAMEN」というレーベルの戦略でもある。だからちょっとずつ音楽性が変わってきてる。
大谷 たしかに今回のアルバム、ちょっとエレクトロっぽい曲が2曲入ってますよね。
柴 そうなんです。「Bedroom Warfare」なんてまさにそうで。アルバムの中でも僕がすごく好きな曲なんですけど、これはレーベルからの要請で作られたらしい。
大谷 俺もあの曲好きなんだ! 「ラジオにかける曲を作ってほしい」と言われたって話でしたよね。
柴 そうそう。たとえば同じ「FUELED BY RAMEN」のレーベルメイトにTWENTY ONE PILOTSという全米No.1を獲得をした二人組のバンドがいるんですけど、ああいう感じが今のアメリカのメインストリームのポップ・ロックの象徴なんですよ。
大谷 あれ、ロックなんだ!? エレクトロというかヒップホップというか、バンドサウンドとは違いますよね。
柴 そういうシーンに立ってるが今のワンオクだと思うんです。「世界基準」って言うのは簡単だけど、かなりハイレベルな領域で戦ってると思いますね。
10代が夢を託せるロックスター
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