35歳処女です。恋は、した事がありません。

今回、牧村さんのもとには「一人で生きて行かなきゃいけないのかと思うと、辛くて辛くて涙が出ます」という35歳の方からのお悩みが届きました。牧村さんは、「どうしたら処女じゃなくなるか」を本題とするのではなく、もっと「根っこ」のことを考え、相談者に寄り添いながら力強い言葉を投げかけます。

※牧村さんに聞いてみたいことやこの連載に対する感想がある方は、応募フォームを通じてお送りください! HN・匿名でもかまいません。

「35歳処女です。恋は、した事がありません。」

……っていう、今回の記事のタイトルは、ご投稿いただいた文章の本文から切り抜いてつけました。

ですが、「どうしたら処女じゃなくなれるのか」みたいなことは、別に本題にしません。むしろ、35歳だからといってセックスや恋愛をしなければならないことみたいに言う、セックスや恋愛をしたことがある側に立って「あなたもこうすればこっち側に来られるわよウフフ」みたいな物言いをする、そういう悩み相談記事は書いた人が気持ちよくなって終わるだけのものだと思っています。私はそういうのが書きたいわけじゃないの。

どっちかというと、そうだなあ、もっと根っこのこと。「他人が恐いです。でも孤独はもっと恐いです」的な気持ちとの向き合い方について、ご投稿者の方との対話形式で考えていきたいと思います。ご投稿いただいた文章は青字で書いてあること、また、誤字訂正と改行以外の編集は加えていないことも申し添えておきます。それでは、いきますね。

私は35歳処女です。
幼い頃、親戚の6歳年上の男性に触られてから(股間を足で踏まれたりしました)、男性が怖くて仕方なくなりました。小学校6年間ずっと2人の男子にひどくいじめられ、高学年の時の男性担任教師に目の敵にされて嫌がらせをされ(クラスで起こった問題は、何の関係もなくても全部私のせいにされたりしました)、男性が本当に嫌になり、中学から女子校に進学しました。
その女子校で女子からひどいいじめを受け、呼び出され罵倒され無視され教科書に落書きをされ、更に毎日のように電車の中で痴漢にあって下着の中に手を入れられたりスカートを切られたりしていました。
現在もその恐怖感から脱せず、男性も女性も怖くて怖くて仕方ありません。

わあ…………。そら怖いわ。

あれ、でも、私だって女性なんだけどな? それなのにお話下さったのはどうしてかしら、と思って続きを拝読しました。こういうことだったんですね。

大人になって、仕事などで男性や女性と話す事はできますし、会って遊ぶ女友達も少数ですがいます。

なるほど。人と話せる、友達と遊べるところにまで辿りつかれた。それにしたって……。

しかし仕事相手でも女友達でも、下ネタや性的な話になると、恐怖感が抑えきれず、頭の中が真っ白になってしまいます。

思い出したくないことは、思い出したくないですよね。

恋は、した事がありません。男女ともにいいな、素敵だなと思う人がいても、恐怖の方が先に来てしまって、気持ちがそこまで行けません。
なんとかしたい!と思って友達に男性を紹介してもらった事もありますが、その方達にとても非常識な事をされてしまい、恐怖が増すばかりでした。(何故そんな事をされたのかは、わかりません。私はその方達に楽しんでもらおうと思って、とても気を使って接したのですが…)

なんとかしたい! と思って行動されたのだということ、そこに、私は敬意を表します。

罵倒、無視、教科書への落書き、下着に手を入れるといったことは、私にとっては「いじめ」とか「痴漢」という表現じゃ軽すぎる。暴力です。暴力、つまり、力を制御できず暴発させてしまう人にも、その人なりの弱さがあり、辛さがあるのでしょう。

ですが、暴力をふるう側にどんな事情があろうとも、ふるわれる側にしたら「しらねーよ」って話だものね。

私は、自分のセクシャリティもわかりません。
友達がみんな、結婚したり、妊娠・出産したり、彼氏ができたりして、幸せそうにしているのを見ると、いい歳して幼い頃の事から脱せていない自分が、誰ともそういう関係になれない自分が、惨めで情けなくて仕方ありません。
私はこのまま一生、誰かと触れ合ったり、誰かと愛し愛されたり、家庭を築いたり、子供を持ったり、そんな幸せを知らず、怯えながら一人で生きて行かなきゃいけないのかと思うと、辛くて辛くて涙が出ます。
どうすればこの恐怖感や、惨めさから逃れられるのでしょうか。

もう、ご投稿者の方は、そっちに向けて歩いていらっしゃる途中だって私は思いましたよ。

幼いころに背負わされた荷物って、多かれ少なかれ、誰にでもあると思います。

身の回りのお友達が“結婚したり、妊娠・出産したり、彼氏ができたり”すると、そりゃ、“幸せそうにしている”ように見えるかもしれません。周りも「幸せなんでしょ?」って目で見るもんね。

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牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

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コメント

jyunnakou 泣くなどした https://t.co/S7yfJVNepG 10ヶ月前 replyretweetfavorite

3839Ay  「すべてのことは、なにかの途中よ」ってなんだか魔法みたいな言葉の響きだ。 約2年前 replyretweetfavorite

tipi012011 「すべてのことは、なにかの途中よ」って何て素敵な言葉だ。 2年以上前 replyretweetfavorite

0501Can @makimuuuuuuさんから @cakes_PR 2年以上前 replyretweetfavorite