集中するための今すぐできる3つのテクニック

1日のうち、高い集中力を発揮できるのは4時間が限界です。でも逆にいえば、4時間集中できれば仕事の生産性は格段にアップします。予防医学研究者の石川善樹さんは、「集中できないのは意志が弱いからではなくその方法がわかっていないから」と言います。その方法について書いた石川さんの最新刊『仕事はうかつに始めるな』の一部を特別掲載いたします。

根性では集中できない

 人はどういうときに、「もっと集中しなければ!」と思うでしょうか。

 典型的なのは、目の前の勉強や仕事とは違うことに気を取られているときです。資料を作成しなければいけないのに、いつの間にかネットニュースを読み込んでいる。参考書を開いて数分後には、スマホでLINEをチェックしている。「集中しなければ」と頭ではわかっているけれど、なかなか仕事や勉強に復帰できない。気がつけば 30 分、1時間があっという間に過ぎてしまった……。

 こうした経験をすると、たいていの人は「自分は意志が弱い」と思うはずです。でも、そういう考え方をしてしまうと、あとは根性論にしかなりません。つまり、

 集中力=意志力

 と定義してしまうと、集中力のない人への処方箋は、「もっと意志を強くすること」という精神論や根性論になってしまうのです。

 それでは、本質的な解決にはなりません。

 とはいえ、たとえ今日集中できなくても、締め切りが近づけば切羽詰まって、おのずと集中できます。いわゆる「締め切り効果」ですね。でものど元過ぎればなんとやらで、2日後、3日後は、高い確率で元の「集中できない人」に戻っているはずです。そしてまた「自分は意志が弱い」と精神論に舞い戻ってしまう。このループを繰り返す限り、いつまでたっても安定した集中力を発揮することはできません。

集中テクニック① 気を散らせるモノを遠ざける  

 では、どうすればメールやスマホに気を取られることなく、目の前の仕事に集中することができるでしょうか。

 重要なポイントは、「自分を信用しない」ことです。要は「気を取られそうなモノは、あらかじめ排除しておく」ということです。 パソコンに向かって、資料をつくったり文章を書いたりしていても、クリックひとつでインターネットが立ち上がり、ネット上には、あなたがよく閲覧しているサイトが無数にある。SNSで絶えずメッセージがプッシュされてくる。それらを見ないでおこうと自分を律しても、はたしてそれができたことがあるでしょうか?

 少なくともわたしは一度もありません。 だからこそ、うかつに仕事を始めてはいけないのです。ものごとに集中するためには、自分を律さなくてもいい環境をつくることが重要です。

 スマホが気になりがちな人であれば、目に入らない場所にしまっておく。ネットを見てしまう人は、接続を切る。繰り返しますが、自分を決して信用してはいけません。

集中テクニック② いやいや始めない

 集中を阻害する要因をひと通り除去することができたとしても、まだ仕事を始めてはいけません。やる気が出ないけどまずは机についてみる、それが集中力にとっては命取りになります。その環境と「いやだ」というネガティブ感情を脳が結びつけて記憶してしまうからです。脳は、あなたが向かう机を「やる気の出ない場所」として覚えてしまうのです。勉強をしたくない子どもを、毎日強制的に机に向かわせると、ますます勉強嫌いになるのと同じです。

 つまり、集中するための二つ目のポイントは、「いやいや始めない」ということです。

 不眠治療でも、医師は「眠れないときはベッドから出たほうがよい」という助言をよくします。ベッドで眠れない状態が続くと、ベッドが「眠れなくてつらい場所」として認識されてしまうからです。

 わたしの友人に、北川拓也君という天才がいます。彼はハーバード大学院で理論物理学の博士課程を修了したのち、ビッグデータの専門家として楽天に入社し、 27 歳で執行役員になっています。彼の勉強法はすごく変わっていて、「自分は何を知りたいのか?」という意欲が極限まで高まらないと決して教科書を開こうとしないのです。これは脳の特徴をよく理解した、きわめて理にかなった勉強法です。

 しかし社会人の場合、「仕事をする気が起きないから、席につきたくない」とは言えません。そこでおすすめなのは、「やる気が出ないときに仕事をする場所」を決めておくことです。

 もちろん、根本的な解決にはなっていません。集中するためには、「いやいや」を「ワクワク」に変えるテクニックを身につける必要があります。その具体的な内容については、第3章であらためてお話しすることにします。少なくともここでは、「感情と場所はセットで記憶される」ということを覚えておいてください。気分が乗らないのに仕事を無理やり始めても、決して集中することはできないのです。

集中テクニック③ 終わりの時間を決める

 仕事を阻害する要因を取り除くこと、やる気が出るまでやらないことのほかに、もうひとつ、集中力を発揮するために大事な準備があります。それは「仕事の終わりを決める」ということです。

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働く人のための集中力マネジメント講座

石川善樹

人間の集中力はいまや金魚以下といわれるほど低下しています。平均的なビジネスパーソンは1時間に30回もメールをチェックしているともいわれています。ではスッと集中状態に入るためにはどうすればよいのか? 予防医学研究者の石川善中さんが、集中...もっと読む

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foloinfo "わたしたちの脳は、疲れてから休んだのではリカバリーが遅くなってしまうのです。そのため、疲れる前にこまめに休んでおくことが、結..." https://t.co/2r1voWoLl7 https://t.co/0exzg7c0TQ #highlite 9ヶ月前 replyretweetfavorite

foloinfo "仕事の終わりを決めるためには、仕事を「量」で管理することが必要です。1時間でアイデアを 20 個出す、資料を10 枚作成する..." https://t.co/2r1voWoLl7 https://t.co/fZKYcIS6jM #highlite 9ヶ月前 replyretweetfavorite

foloinfo "やる気が出ないけどまずは机についてみる、それが集中力にとっては命取りになります。その環境と「いやだ」というネガティブ感情を脳..." https://t.co/2r1voWoLl7 https://t.co/i3sVQD0mzK #highlite 9ヶ月前 replyretweetfavorite

restart20141201 "日本人は、始まる時間は守る。でも、「仕事を終える時間」についてはルーズである。" 10ヶ月前 replyretweetfavorite