音楽産業が17年ぶりのプラス成長を果たした理由

音楽ビジネスの過渡期、その先には何があるのでしょうか? 音楽の未来、そしてヒットの未来への問題提起――。
音楽ジャーナリスト・柴那典さんがその実情と未来への指針を解き明かす話題書『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)。その内容を特別掲載します(毎週火曜・木曜更新)。

過渡期の続く音楽業界

前章で語ってきたように、10年代の日本の音楽カルチャー、アイドルもロックもひっくるめた新しい日本のポピュラー音楽を巡る状況には、これまでにない大きな可能性が広がっている。とても豊かな音楽シーンが生まれている。それが筆者の嘘偽りない実感だ。

 しかし、ビジネスやマーケットの動向を見れば、決して先行きが明るいと言うことはできない。音楽ソフトの売り上げは落ち込みを続けている。ライブ・エンタテインメント市場は拡大しているが、それぞれの会場の収容人数が決まっている以上、動員数には上限がある。

第四章に登場したヒップランドミュージックコーポレーションの野村達矢も「現実はまだまだ音楽ビジネスの構造自体が崩壊している過渡期の段階」と、現状に危機感を持っていることを語る。

 では、その先には何があるのか? ここでは、グローバルな市場動向を見据えた上で、音楽の未来、そしてヒットの未来について問題提起をしていきたい。

所有からアクセスへ

「消費者の要望は、音楽を『所有』することから、音楽に『アクセス』することへと変化している」

 国際レコード産業連盟(IFPI)のフランセス・ムーアCEOは、こう告げた。2015年4月に発表したデジタル音楽市場調査結果のレポートの中でのことだ。

(PHOTO: Getty Images)

 2015年という年は、世界のレコード産業にとって歴史的なターニングポイントになった。

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ヒットの崩壊

柴那典

「心のベストテン」でもおなじみ音楽ジャーナリスト・柴那典さん。新刊『ヒットの崩壊』では、アーティスト、プロデューサー、ヒットチャート、レーベル、プロダクション、テレビ、カラオケ……あらゆる角度から「激変する音楽業界」と「新しいヒットの...もっと読む

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コメント

Making_noiz 『「消費者の要望は、音楽を『所有』することから、音楽に『アクセス』することへと変化している」国際レコード産業連盟(IFPI)のフランセス・ムーアCEO #t_m_etc_ #t_memo_ 9ヶ月前 replyretweetfavorite

n0zak1 |ヒットの崩壊|柴那典|cakes(ケイクス) ストリーミングが牽引する流れは加速していくだろうね。 https://t.co/BR6lRh4sS4 9ヶ月前 replyretweetfavorite

betty32321 あとで読む / 他1コメント https://t.co/ONKEKbM5Sj 9ヶ月前 replyretweetfavorite

betty32321 あとで読む / 他1コメント https://t.co/ONKEKbM5Sj 9ヶ月前 replyretweetfavorite