生き地獄から抜け出したのち、脂肪吸引

1000万円をかけて美容整形をした「整形微人(@tekitouko_)」さんに本音を綴っていただく本連載。今回のテーマは「脂肪吸引」です。高校生のとき、とあるショッキングな出来事をきっかけにダイエットを始めた整形微人さん。そこから地獄のような日々が待っていました。

私が初めてダイエットをしたのは高校生のときだ。

食べることが大好きだった私は、いつも好きなだけお菓子を食べていたし、学校がおわったらメロンパンやチョコパンなどの甘い菓子パンを食べていた。野菜やお魚は嫌いで、夜ご飯は高カロリーなハンバーグやオムライス。

「お母さん、おかわり!」

よく食べる私をみて、母や父は嬉しそうにしていたのを覚えている。夜ご飯を食べた後は家族みんなでアイスを食べてテレビを見るのが習慣だった。

そんな生活をしていた私はどんどん太っていき、気付いた時には60kgを超えていた。それでも自分のことをデブだと思っていなかったし、ダイエットしようなんて思ったこともなかった。ある衝撃的な出来事が起こるまでは……。

折れてしまいそうなくらい細い3人に囲まれて

高校生になると、中学生のときは子供っぽかった子もオシャレをし、化粧を覚えどんどん色気がでてくる。他の高校の男子とも交流をもつようになり、ある時、仲の良い女の子4人で他校の文化祭へ遊びに行くことになった。

自分なりに精一杯のおしゃれをして、集合場所に向かうと、バッチリ化粧をし、パンツが見えてしまいそうなくらい短い制服のスカートをはいた3人がいた。

「もっとスカート短くしないと~」

そういって友人は、私の、膝まで届くぐらい長かったスカートを短く折り曲げた。折れてしまいそうなくらい細い3人に囲まれて、パンパンに張った太ももを露出させて歩く私の姿はとても滑稽だった。

「見ろよあれ、一人だけデブがいる」

「デブのくせにスカート短いね~」

わざと聞こえるように言っているのかわからないが、周りの人たちが私のことを哀れな目でみているのは十分伝わってきた。

私って、そんなにデブだったんだ……。

かなりのショックを受け、家に帰るなり一晩中泣いていた。

痩せるのは、すごく簡単だった

自分がデブだと言うことに気づき、ショックを受けた私は本格的にダイエットを始めた。炭水化物や甘いものは一切食べるのをやめた。今までよりも30分早く起きて毎朝ジョギングをした。夜はジムに通って運動をした。挫けそうになったときは、文化祭で撮ったみじめな写真をみて頑張った。

これまで運動せずに好きなものを好きなだけ食べていた分、体重はすぐに落ちた。毎日、体重計に乗るたびに数値が減っていく。体重が減るのと同時に、見た目にも変化が現れた。いつもはいていたズボンがゆるゆるになっていたのだ。

嬉しくて、すぐに新しい服を買いにいった。今までは、服を買いにいっても足が隠れるロングスカートや無意識にダボダボの服を選んでいた。でも、痩せてからの私は短いスカートやヘソ出しのキャミソール、なんでも似合った。どこへ出かけるのも楽しかったし、太っていたころとは世界が180度違ってみえた。何十倍も、輝いてみえた。

「もう太っていたころには戻りたくない」

その思いが強くなり、少しでも体重が増えていたらご飯を食べるのをやめた。こうして激しいダイエットで1カ月で15kgの減量に成功した私の体は、気づかないうちにボロボロになっていた。

1人部屋にこもる毎日

「もっと痩せなきゃ」

そう思うものの、次第に体重がなかなか減らなくなってきた。今まで家族みんなで食べていた夕食は、一人だけ別メニューでヘルシーなものを作ってもらうようにしていた。でも、野菜サラダを食べる私の隣で、美味しそうにハンバーグを頬張る家族を見てるとどうしてもイライラしてしまう。なかなか体重が減らない焦りもあり、私の中のなにかが爆発してしまった。

「もうみんなとご飯食べるのやめる」

その日を境に、家族みんなとご飯を食べながら今日の出来事を話すことも、アイスを食べながらテレビを見ることもなくなった。学校帰りに友達とマックに行ったり、買い食いすることもやめた。

1人部屋にこもり野菜を食べる毎日。食べ物を見るのが、口にするのが、すごく怖かった。体重が減っていくのと同時に、大切なものもどんどん失っているような気がした。

それでも痩せていたかった。

食べる量はどんどん減っていき、毎日フラフラしながら学校へ向かっていた。明るかった性格も、どんどん暗くなっていく。とにかく元気がでない。毎日異常に寒くて、夏でも長袖を着ていた。

マヨネーズを一本丸ごと飲んでしまった日

そんな生活が3カ月ほど続いたある日、私の17歳の誕生日がやってきた。友達がお祝いにもってきてくれたケーキ。「さすがに食べないのは悪いよなぁ…。一口だけなら食べて大丈夫だよね…」と、久しぶりに甘いものを口にした。

「おいしい!!!」

想像以上に美味しくて、とまらなかった。一口だけ、と思っていたのに気づいたらワンホールぜんぶ食べていた。

「足りない。もっと食べたい」と、食べたい気持ちが抑えきれなくなり、家の中にあったパンやお菓子を片っ端から食べた。母が明日の朝ごはんのために買ってきていたおかずも、弟が食べるのを楽しみにしていたプリンも、狂ったように食べ続けた。お腹ははち切れそうなぐらいパンパンになっている。

気持ち悪い。もう食べたくない。でも、止まらない。自分の意思ではなく、何者かに操られてるような感覚だった。

食べるものがなくなった私はマヨネーズを一本まるごと飲んでいた。

その日から過食嘔吐が始まった。

家族に見つからないように、みんなが寝静まった後にこっそり起きて狂ったように食べては吐いた。明日こそは辞めよう。毎日そう思うものの、一度癖になってしまったらなかなか抜け出せない。食べ物に支配される、生き地獄のような毎日。

どんどん弱っていく私の姿は、周りから見ても異常だったに違いない。そんな私を一番心配してくれていたのは母だ。

「今日はね、おからのハンバーグを作ってみたの」

「今日の夕飯はしらたきのパスタだよ。とってもヘルシーで美味しいよ」

私のために低カロリーなメニューを勉強して作ってくれる母の姿に愛を感じたのと同時に、ごめんなさい、と涙があふれた。

23歳で出会った脂肪吸引
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どうしても美人になりたかった私の話

整形微人

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コメント

kabothomas 今この瞬間にも、若い女の子が同じ地獄に次々と堕ちて行くのが見える。涙が出そう。 ルッキズムは、時々本当に人を殺す。 約3年前 replyretweetfavorite

yokoshimastripe まだ途中までしか読んでないけど涙止まらない😢ご飯の話、昔から弱い 約3年前 replyretweetfavorite