食べるものくらい自分で考えろ!

わたしたちはインターネットを通じて日々多くの情報に触れています。それは大いなる恩恵であると同時に、深入りすると翻弄されてしまう、諸刃の剣です。現代人が感じる「生きづらさ」とインターネットには密接な関係がありそうです。
大学受験の失敗を機に、以後十五年間、実家で引きこもり生活を送った田中慎弥さん。そのなかで悟った孤独の効用とは。芥川賞作家が語る、自分を取り戻すための人生論。
書籍『孤独論~逃げよ、生きよ~』を、発売に先駆け特別先行掲載いたします。

「怖さ」に敏感であれ

 インターネットのレコメンド機能は非常に強化されているようです。

 あなたがいま欲しがっているものはこれですよね? あなたの味覚にあった料理はこれで、趣味にあった書籍はこれで、体調にあったサプリメントはこれで……といった具合に頼んでもいないのに、これまでの購入履歴や閲覧記録から弾き出して勝手に教えてくれる。

 余計なお世話です。かりにそのアドバイスが的確だったとしても、余計です。当たっていたら余計に癪る。

 それでも、まあ、レコメンド機能には便利な面もありそうですから、ささやかなサービスとしてうまく使いこなせばいいと思います。

 この、うまく使いこなす、というのが肝です。あくまでもサービスはあなたが使いこなすべきものであって、使われてはいけない。余計なお世話だと、わたしは吐き捨てましたが、頭のどこかにそのような意識があってしかるべきです。

 便利さには危険が潜みます。身を任せすぎると、サービスの言いなりになって思考停止にはまり込んでしまう。インターネットにはそもそも、そのような主客転倒の倒錯を引き起こす、慣性のようなものが常に働いていると考えるべきでしょう。これは非常に怖いことです。

 この「怖さ」というのは得体の知れない怖さであり、かなり厄介です。

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「逃げる」は負けではない。自分を取り戻す究極の手立てだ。孤高の芥川賞作家、窮地からの人生論。

この連載について

初回を読む
孤独論~逃げよ、生きよ~

田中慎弥

仕事、学業、人間関係、因習、しがらみなどによって、現代を生きる多くの人は「奴隷」になっている。「奴隷」とは有形無形の外圧によって思考停止に立たされた人のこと。あなたは大丈夫だろうか。自分の人生を失ってはいないだろうか。もし苦しい毎日を...もっと読む

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コメント

Masaki_Takeuchi らしいね。 #SmartNews #グランパスくんJマスコット総選挙 https://t.co/IKqGmjsjBr 2年以上前 replyretweetfavorite

a6k3_e 田中慎弥氏とかphaさんとかの現代風世捨て人感わりとすき。自分がそうやって生きていけるとは思わないけど心の一部分にそういう生き方を飼っていたい 2年以上前 replyretweetfavorite