逃げたあとにやるべきこと
逃げ出したい、逃げ出そう、少しでもそういう発想がよぎる人は、自分の置かれたよからぬ状況をかろうじて自覚しているという点で、救いが見出せます。自分を客観視できる一面が残されているわけですから。
危険なのは、頭の中が目詰まりして客観性を失った人です。わたしはいまここで仕事をしているのだ、やり遂げなくては、という目先の事実に雁めになって、完全な思考停止に陥った挙句、ほかの選択肢を見失う。夜逃げすらできないし、その発想自体に思い至らない。そうするうち、体力も精神力も奪われてゆく。これがもっとも危険な状態です。
学校を卒業し、会社に就職するなり派遣勤務に従事するなりして、時間をかけて形成したキャリアです。与えられた環境でどうにかやっていくしかない、食べていくための仕事なんてそういうものだという意見には、確かに反論しがたい強さがあります。
その強さこそが厄介なのであって、苦しい、理不尽だ、そう思いながら、どうにもならないとあきらめているのだとしたら、完全な奴隷です。
奴隷は不幸でしかありません。目の前の仕事や雑事を脇において、ちょっとだけ立ち止まってみることは、本当にできないのでしょうか。
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