第15回】週末、血の海にまどろむ

休日に繁華街におもむくと聞こえてくるのが、「◯型が足りません!」と叫ぶ献血ルームの職員の声。岡田育さんは、人のためではなく自分のために進んで献血に行くと言います。16歳になってすぐに献血ルームに駆け込んだ岡田さんの、献血に対する熱い想いとは……。献血は世界を救う!

 悲しみに襲われると、私は献血へ行く。献血をする側が、献血に多くを望んではいけない。けれど献血は、その血をもって何かを贖わんとする者に、じつに多くのものをもたらしてくれる。

 初体験は16歳のときだ。200ミリリットルの採血が可能な年齢になってすぐ、学校帰りに制服で、今はなき渋谷センター街近くの献血ルームへ行った。急いでいたのには理由がある。当時、私は自分の血液型を知らなかった。血液の抜き差しとは無縁の健康優良児として義務教育課程を終え、これからは自分が知りたいと思ったことは自分の力で調べよう、まずは血液型を知るために献血をしよう、と自立の一歩を踏み出したのだ。

 どうせAB型だろうと思っていたら、やっぱりAB型RH+だった。水瓶座のAB型。占いの世界では最凶の組み合わせである、らしい。星座や血液型で性格がわかり他人との相性まではかれると思っている特殊な人々(なぜか日本人にものすごく多い)に言うと、必ず「ああ」と納得される。私にとっては相性占いより、万能受血者アピールのほうが大事である。万一の事態に備えて、私の血液型を知っている他人は多ければ多いほどよい。

 そして血液型以外にもう一つ、私には献血を急ぐ大きな理由があった。生まれ変わりたかったのである。

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ハジの多い人生

岡田育

趣味に対する熱量の高いツイートと時事に対する冷静な視点でのツイートを自在に繰り出すWEB系文化系女子okadaicこと岡田育。 普通に生きているつもりなのに「普通じゃない」と言われ、食うに困らず生きているのに「不幸な女(ひと)」と言わ...もっと読む

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コメント

s__hideki 献血のきっかけはこの記事だった。 4年弱前 replyretweetfavorite

yamane02 「俺、人間としてはゴミみたいなもんだけど、人体としてはやることやってんのな」と思える救い。リスカするなら献血を。/ (30日23時半まで無料) 約4年前 replyretweetfavorite

tachibana 思い出した。最近岡田育さんの書くものが面白くてなんでフォローしてなかったんだろう、と思ってたら以前この記事を読んだからだった > 約4年前 replyretweetfavorite

decoct 献血は世界を救う! まじでそうかもしれない。岡田育すげえ。 4年以上前 replyretweetfavorite