第5回】企業と消費者の距離を縮める 新しい価値訴求メディアの活用

市場のニーズに応えることはヒット商品作りの基本だが、販売数150万本を売り上げている眼鏡チェーンのJINSのパソコン専用眼鏡「JINS PC」は違う。普段眼鏡をかけない人々に、「目が疲れているから眼鏡をかける」という新しい習慣を、ゼロから植え付けた商品である。2011年9月に商品ができたが、普通の売り方では売れないことは自明だった。それを大ヒット商品にまで押し上げた同社の取り組みとは…。

SNSを味方につける

 市場のニーズに応えることはヒット商品作りの基本だが、販売数150万本(1月15日現在)を売り上げている眼鏡チェーンのJINSのパソコン(PC)専用眼鏡「JINS PC」は違う。普段眼鏡をかけない人々に、「目が疲れているから眼鏡をかける」という新しい習慣を、ゼロから植え付けた商品である。

ブルーライトを軽減するPC専用眼鏡で大ヒットを飛ばしたJINS。ネットユーザーとPC眼鏡は親和性も高かった。Photo:DW

 きっかけは同社の田中仁社長が、眼科医との立ち話の中で「LEDディスプレーが発するブルーライトが目を疲労させる」と聞いたことだった。もしかすると需要があるかも……。そこから商品作りが始まった。

 2011年9月に商品ができたが、普通の売り方では売れないことは、自明だった。「われわれが夏に『冷やし中華始めました』の旗を見ておいしそうだなと思うのは、味のイメージを知っているから。『PC眼鏡始めました』といっても、それが何なのか知らなければ誰も買わない」(新井仁・ジェイアイエヌ・アイウェア事業部Eコマースグループマネジャー)。

 いきなりテレビ広告などマス広告を打つのは避けた。まずはウェブサイトで、眼科医によるエビデンス(根拠)を提示した。同時に、商品体験したジャーナリストにブログで紹介してもらった。そこからSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて、徐々に話題が広まっていった。ブログ、ネット系メディア、SNS、雑誌……と新しいもの好きの間に商品情報が届いたところで、昨年6月に女優の蒼井優を起用し、マス広告を打つ。

 ここで初めてJINS PCやブルーライトという言葉を聞いた人が、ネットで検索してみると、とっくにブログやSNSで話題になっていたことを知るわけだ。

 「商品の成長カーブと消費者へ浸透させていく戦略は、初期のころにきちんとシナリオを組んだが、ここまでうまくいくとは思わなかった。PC用だから親和性が高いのもあるが、SNSをはじめウェブメディアの力は大きかった」と新井マネジャーは振り返る。

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