『金スマ』で後ろに並んでいる女性の名称は「赤」
『金スマ』を観ていて常時不快なのは、芸能人の背後に、赤い服を着たミニスカートの女性たちがズラリと並べさせられているからだが、あの女性たちには名称がある。番組のウェブサイトを覗くと「スタジオ女性100人 通称『赤』大募集!」と告知されており、「〒107-8006 TBSテレビ 中居正広の金スマ『赤』係」で応募できるそう(自己PR写真必須)。あの状態とその名称を掛け合わせ、スタッフブログに、「赤」にも順列があって「中居さんやパネラーの後は花形らしいです…。そして内側は足が綺麗な人…など暗黙のルールがあるらしいです。シビアな世界ですね。」といった文言を確認すると、こちらが用意できる言葉は「下品」くらいのものである。
あの番組が、今日は思いっきり感動しましょうね、と振りかぶる放送回を見るとき、ついつい意地を張って涙を流さぬよう心がけるが、その日の主役の近親者が亡くなったり、闘病生活を余儀なくされていることを知らされたりすれば当然こみ上げてくるものがある。そういう時には「赤」に目を移す。後ろに並ぶ「赤」は、赤べこのようにとにかくしきりにうなずいている。自発的に声を発する権利を持たないから、うなずくことでしか自己主張できない。年始に放送された『ニッポンのジレンマ』を見ていたら、番組後半で最前列の男性が眠りこけていたが、彼らにはツイッターで意見を述べる形で番組に参加する権利が与えられており、その眠りは拘束されていない証左とも言える。
「まずJAに入るのは絶対条件なんですか?」
『池上彰のニュースそうだったのか!!』という番組名は、色々と説明が端折られている。番組内容を正確に言い表すと「池上彰がニュースを解説し、それに対して、ひな壇に並んだ芸能人が『そうだったのか!!』とうなずきながら納得する番組」だ。ニュースはいつ何時もふんだんに生まれてくるから、番組が精一杯作り上げなければならないのは「そうだったのか!!」である。「池上彰」と「ニュース」だけでは、「そうだったのか!!」を作り上げることはできない。番組の基本的な構図としては「池上彰→解説←そうだったのか!!」だ。池上は安定的に「→」を提供してくれるから、制作側はそれに応えるような「←」を作る必要がある。その「←」を最前線で作るのが、巧妙にうなずくことのできる芸能人たち。『金スマ』の「赤」のような、安直な自己主張としてのうなずきでは、池上の「→」と対峙できない。