松浦達也(以下、松浦) さっき「生卵とパン粉だけ」って仰ってらした卵フライ、いったいどうやって作るんですか? 小麦粉なし、卵は溶き卵にするわけでもないんですよね。
草深由有子(以下、草深) そうなんですよ。下ごしらえと言えば、たっぷりのパン粉を用意して、そこに生卵を落とすだけ。
松浦 さっぱりわからない(笑)。
草深 コツは「しばらく置いておく」ことなんです。そうするとパン粉が自然に卵のまわりにくっつく。
松浦 むー。理屈で考えると、サラサラした卵の白身部分の水様卵白の水分がパン粉に染みて固体につきやすくなって、プルプルした濃厚卵白部分にくっつくってことなのかな……(ぶつぶつ)。
草深 そうそう。あのサラサラした白身が衣に。プルンって弾力の強い白身と黄身が具になるおイメージですね。最初、このレシピ見て「ほかに何かコツがあるのでは」と不思議に思ったくらいレシピ自体は単純なんですよ。
松浦 僕、いまだに半信半疑ですもん(笑)。
「あまったパン粉で節約エッグフライ」by ひいろ321さん
草深 じゃあやってみましょう。こうして、たっぷりのパン粉にくぼみを作って……。そこに卵を落とす。あとはたっぷりのパン粉をかぶせて待つ。
松浦 本当にそれだけなんですね。じゃあ僕もマネをして……(と仕込み完了)。これで10〜15分待つ、と。
揚げ卵のトレンド到来!?
松浦 でも卵を揚げるって、一般の家庭であまりやらない気がするんですが。
草深 うちの実家ではよく食卓にのぼってましたよ。それこそ『卵ドリル』に載ってる木の葉型のフライドエッグも作ってましたね。
松浦 えっ。すごいですね。あの形は「少なめ油×樹脂加工フライパン」に特化させたつもりだったんですが。お母様の世代だと、たぶん樹脂加工じゃない普通のフライパンですよね。よほど使い込んでないと、鍋肌に白身がくっついちゃう。きちんと鍛えられたフライパンだったんですね。
草深 でも確かに卵を揚げたメニューって、数年前までそんなに一般的なメニューじゃなかったんですよ。2014年の「クックパッドアワード2014」の食トレンドに「冷凍卵」が入って、「冷凍卵の天ぷら」に展開されたあたりから増えてきた印象ですね。
松浦 さっきのフライに至っては、冷凍もせず、衣づけの作業もほとんどしていないようなものですよね。
草深 揚げた卵の魅力に気づいた人、増えていると思いますよ。クックパッド社内にも、ハムエッグを揚げた「ハムエッグカツ」が大好きなスタッフもいますもの。
松浦 フライってそれだけで、アガりますものね。あ、いや、ダジャレではないんですが。
草深 フフフ。わかります。「ハムエッグカツ」だってイメージとしてはいわゆる「給料日前の晩ごはん」ですよね。おかずの種類やボリュームが足りない時にどうするか。ハムだけだとおかずにするにも弱いし、ハムカツだとボリュームが物足りない。
松浦 かといって、ハムエッグだと朝食になっちゃう。
草深 そこでフライです。クックパッドのトレンドでは「時短」「簡単」というキーワードのレシピの人気が高いんですが、それとはまた違う軸で、家計にやさしく家族の満足度も高い揚げ物を上手に活用する層も多いんです。
松浦 意外です。ネットのレシピってライトユーザー向けのもので、家庭で揚げ物をするほどがっちり料理をする層はあまりネットを見ないものかと思いこんでました。
草深 クックパッドニュースでも揚げ物のニュース、評判いいんですよ。とりわけフライはテッパンでウケると言ってもいいかも。
松浦 草深さん自身、揚げ物はお好きなんですか。
草深 食べるのも好きですけど、やっぱり調理がラクですよね。素材を問わず火も通りやすいし、子どもも喜ぶ。根菜とかも素揚げにするだけで、ちょっとしたお料理になりますよね。
松浦 揚げ物って、それだけで「一役つく」みたいなところありますよね。
草深 さて、そろそろいい頃じゃないでしょうか。