とても醜くて、
本当にぶざまで、
汚くて、愚かで、あまりにもダサい。
こんな作品はきっと、誰からも愛されないと思っていた。
『笑いのカイブツ』が生まれる少し前。
僕には、すがりつくものが、
お笑いと彼女〈アナタ〉しかなかった。
その二つを失ったら、死のうと思っていた。
最初に、
彼女が去って、
その後すぐに、お笑いをやめた。
そこから、僕は、死んだように生きていた。
それが今から、一年半くらい前。
僕は、やってしまったと、思った。
「あそこやったんや。
オレが死んどくべきやった地点は、あの夜やったんや」
僕は、自分が死ぬべき最高のタイミングを、逃してしまったことを、後悔していた。
その地点は、僕が彼女と別れる少し前のある夜だった。
「どうしたん?」
彼女が、僕のことを見て言った。
「むっちゃ悲しそうな顔してる」
僕は彼女の隣に、ぶっ倒れて言った。
「このまま寝てる間に死にたいわ」
どんなに、どん底で、堕落していても、ずっと愛されていた。
それはまるで、人間丸ごとを、全肯定されたような感覚だった。
「このまま、愛されとる状態のまま、死にたいねん。
27年間生きてきたけど、オレなんかを好きになってくれたん、キミだけやねん」
仕事はほとんど無く、必死ですがりついていたこの愛情さえ、いつか、失うような気がしていた。
だから、このまま、寝ている間に、僕を死なせてくれ。頼む。
そんなことを思いながら、目を閉じた。
すると、彼女は、
「死なさへん。すぐ病院連れて行って、生き返らす」と言った。