ネーミングから生まれる新たな物語【第15回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』の全原稿を火・木の週2回で公開中!第2章では、心地いい暮らしを支える活動を始めている人や企業をご紹介していきます。
人気の野菜「トロなす」を使ったシンプルで美味しいレシピも必見です。

ネーミングから生まれる新たな物語

 このすばらしく繊細なピーチかぶをはじめとして、その後、小堀さんは野菜にさまざまなオリジナルの名前をつけていくことになります。「こういう名前を付けたら売れるかな」というマーケティング的な発想ではない。彼女は「野菜が喋ってくるんです」と言うのです。実際に口に入れて咀嚼し、食べてみると、その感動とともに、名前がまるで降臨してくるのだそうです。

「なんてトロリとしたなすなんだ! とろーっととろける……これはトロなすだ!」

「このかぼちゃ、なまで食べるとこりっとしていて美味しい……かぼっコリーね!」

 こういう感じです。

 トロなすは最初、白なすという名前で販売していました。色は真っ白ではなく、緑色です。でもまあ、紫色のなすにくらべれば白いので、白なすという名前にしてみたんですね。でもこの名前だと、全然売れませんでした。緑色だから緑なすのほうがいいかも、と思って名前を変えてみましたが、それでも売れません。会社からは「もう売るのはやめにしないか」と言われました。でももう一度考えてみようと、会社のキッチンで料理をし、みんなで食べてみます。普通のなすよりも細胞が連結しておらず、離れている感じの食感で、そして粘りがより強い品種です。フライパンでソテーして食べてみた時に、ピーンとひらめきました。

「これは野菜の中のトロみたいなものだ!」

 トロなすの誕生です。販売開始して4年目のことでした。名前を変えて、爆発的に売れはじめました。

 わたしもこのトロなすを愛用しています。てんぷらでも麻婆なすにしても美味しいのですが、わたしがよくつくるのは、この料理。

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ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

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そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート! ミニマリズム、シェア、健康食志向……今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?深い洞察をゆるやかな口...もっと読む

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コメント

sasakitoshinao 本当に旨いトロなす油炒めレシピも紹介しました。「なんてトロリとしてるんだ!これはトロなすだ」「このかぼちゃ、なまで食べるとこりっとしていて…かぼっコリー!」 3年弱前 replyretweetfavorite

anonimastudio ピーチかぶ、トロなす、かぼっコリー・・・物語のある野菜から、あたらしい消費のかたちが生まれています。 “@cakes_PR: 【新着】ネーミングから生まれる新たな物語[第15回] @sasakitoshinao https://t.co/I07fqoe6Vc” 3年弱前 replyretweetfavorite

komachibypass "野菜に名前をつけ、新たな物語を与える。これが消費者に受け入れられる。ネット販売なのに、現物も見ずに、売れていく。ここには野菜..." https://t.co/u4JvFLTcgm https://t.co/rHktgKGTeN #highlite 3年弱前 replyretweetfavorite