農家の固い扉をたたく【第13回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』の全原稿を火・木の週2回で公開中!第2章では、心地いい暮らしを支える活動を始めている人や企業をご紹介していきます。
今回も引き続き、食のネット通販「オイシックス」さんの取り組みをご紹介。2000年、まだネットで食品を扱う企業のほとんど無かった時代に、いちばん苦労したのは農家さんとのコミュニケーションでした。

農家の固い扉をたたく

 だとすれば、そこそこに妥当な値段で安心できる野菜をインターネットで購入できるようになれば、多くのお母さんたちにつかわれるようになるんじゃないだろうか?

 オイシックスがこう考えたのは当然の結果だったといえるでしょう。

 入会金や年会費をとらず、セットだけでなく野菜1品から買える。専門の宅配網や共同宅配ではなく、一般的な宅配便をつかって再配達も可能で受け取りやすい。

 もちろん宅配便をつかえば運送料がかかってしまいますが、実際にはお客さんは1品だけを買うのでなく、たいていはいくつかの品物をまとめ買いしてくれるはず。買える商品の選択肢が多ければ、1回あたりの購入点数は増えるはずだから、それで運送料はカバーできる。しかもネット通販なので、従来のように紙のカタログをつくる必要は無いし、注文用紙のマークシートを処理するコストもかからない。カスタマーサポートもそれほど大きくする必要は無い—彼らはそう予測したのです。

 とはいえ、最大の問題は農家さんとのおつきあいでした。オイシックスの若者たちは、農家さんとまったく接点がありませんでした。途方に暮れて、とりあえず野菜や果物を扱っている巨大市場として有名な東京の大田市場に出かけてみました。有機野菜を扱っている卸売りを探して、そこに積んである段ボール箱をチェックする。「○○農園」と書いてある名前と電話番号をメモして、いきなり電話してみました。

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ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

初回を読む
そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート! ミニマリズム、シェア、健康食志向……今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?深い洞察をゆるやかな口...もっと読む

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コメント

sasakitoshinao ネットもあまり普及してなかったオイシックス創業期、若者たちは大田市場の段ボール箱に書かれてる電話をこっそりチェックし、農家に電話するところからはじめたのでした。 3年弱前 replyretweetfavorite

anonimastudio Oisixさんの創業ドラマ、いまなら第2章のはじまり(第12回)から無料でお読みいただけます! 3年弱前 replyretweetfavorite