利便性よく安全な野菜を届けたい—オイシックス【第12回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』の全原稿を火・木の週2回で公開中!第2章では、心地いい暮らしを支える活動を始めている人や企業をご紹介していきます。
まずは創意あふれる食のネット通販「オイシックス」さんの先進的な取り組みを数回に渡ってご紹介。創業時、だれ一人料理をしたことがなかったという同社が、野菜のネット販売をはじめたのはなぜだったのでしょうか。

第2章 ともに物語をつむぎ、ゆるゆる生きる

利便性よく安全な野菜を届けたい—オイシックス

 オーガニック原理主義な「反逆クール」でもなく、コンビニ弁当でもなく、高価な美食でもない。そういう日常の健全さ、心地のいい暮らしを支えていこうとする一群の新興企業や人が現れてきています。

 そのひとつが、「はじめに」で紹介した食のネット通販企業オイシックス。この会社が興味深いのは、その立ち位置です。従来の産直ビジネスのように生産者目線でスタートしたわけではなく、かといって巨大スーパーや巨大コンビニのように、安価な食材を大量に供給しているわけでもない。流通を支配するのが目的でもなく、主な客層であるお母さんたちの目線でフラットなかたちで暮らしを支えていこうとしている。そういう強い意思が感じられます。

 そういう立ち位置になった背景には、オイシックスの成り立ちがあるといえるでしょう。この会社は、食のことなんかまったく知らなかった世間知らずの若者たちが立ち上げました。

 1990年代末、インターネットという新しい技術に取りつかれた人たちが世界中に現れ、日本でもたくさんの新しい企業が野心まんまんに創業されていきました。ヤフー、楽天、サイバーエージェントなどはみんなすべてこの時代の設立です。

 オイシックスを創業した高島宏平さんもそういう野望を持つ若者たちのひとりで、東京大学を卒業した後、外資系コンサルタントのマッキンゼーを経て、2000年に仲間たちとオイシックスをつくったのです。

 創業メンバーは全員が20代の独身男子で、自分で料理したことがある者さえいませんでした。びっくりですね。しかしそれがかえって食文化や食品業界についての先入観を持たないですんだ、ということだったのでしょう。

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

初回を読む
そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート! ミニマリズム、シェア、健康食志向……今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?深い洞察をゆるやかな口...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

sasakitoshinao オーガニック原理主義な反逆クールでもなく、コンビニ弁当でもなく、高価な美食でもない。日常の健全さを支えていこうとする新興企業が現れてきている。オイシックスのお話。 3年弱前 replyretweetfavorite

syoujinkankyo うちはOisixにお世話になってるwそして箱に漫画を入れてるww 3年弱前 replyretweetfavorite

anonimastudio 本日から第2章のスタートです! “@cakes_PR: 【新着】利便性よく安全な野菜を届けたい——オイシックス @sasakitoshinao https://t.co/P82pi1UGEW” 3年弱前 replyretweetfavorite